Marshall Hain / Dancing In The City (1978年) – アルバム・レビュー

2019年11月12日

おすすめのアルバムをショート・レビューで紹介する「アルバム・レビュー」。今日は、Marshall Hainの1978年のアルバム『Dancing In The City』の紹介です。

Marshall Hain / Dancing In The City (1978年) フロント・カヴァー

Marshall Hainは、女性シンガーのKit Hainと男性キーボード・プレイヤーのJulian Marshallによるブリティッシュ・ポップ・デュオ。本作は、Marshall Hainの唯一のアルバムである。

なお、『Dancing In The City』はUS盤のタイトルであり、オリジナルのタイトルは『Free Ride』。ポップなイラストのジャケット(上の画像)もUS盤のもので、オリジナルのジャケットにはHainとMarshallの2人がコミカルに写っている(下の画像)。

Marshall Hain / Dancing In The City (1978年) オリジナル・フロント・カヴァー

本作の収録曲は全てMarshallとHainのオリジナルで、多彩な曲が揃っている。1曲目の「Different Point」はクラブで受けそうなジャズ・ファンク的ナンバー。タイトル曲の「Free Ride」も同じ路線のナンバーで、ノリが良い。

ポップでリラックスした「Dancing In The City」はシングル・カットされ、Billboard Hot 100チャートの43位、UKチャートでは3位となるヒットを記録した。このアルバムが2011年にUKで初CD化された際には、ボーナス・トラックとして、「Dancing In The City」の87年のリミックス・バージョンが2曲収録されている。

「Take My Rumber」はピアノの早弾きを披露する粋なインスト曲。その2曲後ろには「Take My Number」という1文字違いの曲があるが、こちらは穏やかなヴォーカル曲。このあたりの洒落のセンスはブリティッシュらしい。

「Coming Home」と「Back To The Green」にもブリティッシュらしい気品と大らかさが漂う。Kit Hainの歌声にはヴェールの向こうから聞こえてくるようなミステリアスな響きがあり、曲調と合っている。

Julian Marshallは後にも女性シンガーとのデュオ・グループである「Eye To Eye」を結成した。Steely Danのプロデューサーとして知られるGary Katzのプロデュースにより、82年にアルバム『Eye To Eye』を出しており、Steely DanやAORのファンの間で人気がある。

Eye To Eyeでの相方はDeborah Bergという女性シンガーで、透明で浮遊感のあるヴォーカルはKit Hainと似ている。Julian Marshallの作りたい音楽がそのような指向なのだろう。

●収録曲
  1. Different Point - 3:35
  2. Dancing In The City - 3:37
  3. You Two - 3:10
  4. Real Satisfaction - 3:30
  5. Coming Home - 4:10
  6. Take My Rumber - 1:18
  7. Free Ride - 4:02
  8. Take My Number - 2:48
  9. Mrs. The Train - 3:38
  10. Back To The Green - 6:40

◆プロデュース: Christopher Neil

◆参加ミュージシャン: Kit Hain(vo, ag), Julian Marshall(k)
with Phil Palmar/Tim Hain(g), Dave Olney(b), Peter Van Hook/Harold Fisher(ds), Frank Ricotti(per), etc

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