Passage / Passage (1981年) – アルバム・レビュー

2019年11月12日

おすすめのアルバムをショート・レビューで紹介する「アルバム・レビュー」。今日は、Passageの1981年のアルバム『Passage』の紹介です。

Passage / Passage (1981年) フロント・カヴァー

Passageは、The Brothers JohnsonのベーシストであるLouis Johnsonが結成したContemporary Christian Music (CCM)のグループ。メンバーは3人で、Louis以外のメンバーは、The Brothers Johnsonのアルバム制作に参加していたパーカッション奏者のRichard Heathと、Louisの奥様のValerie Johnsonである。

本作は、Passageの唯一のアルバム。Louis Johnson自らがプロデュースを担当し、収録曲は、Amy Grant作の「Faith Walking People」とJaime Owen Collins作の「Love Eyes」を除いて、彼らのオリジナル。

この2曲やラストの「The Son Will Come Again」はCCMらしい曲だが、それ以外の曲では、"サンダー・サム" の異名をもつLouis Johnsonのチョッパー・ベースがぶんぶん鳴っている。

ただ、サウンドの質感は本家のThe Brother Johnsonとは異なる。流麗なストリングスや洗練されたホーンが随所に使われ、Valerieの可憐な歌声も華を添えており、しなやかでエレガント。淡い水彩画のような爽やかなジャケットにも、本家のようなギラギラ感は無い。

リード・ヴォーカルに関しては、Valerieが3曲(1, 3, 8)、Louisが3曲(2, 4, 5)、Richard Heathが1曲(6)を担当し、「Power」と「The Son Will Come Again」は3人で分担。極上のアーバン・メロウでありながら、Louisのベースもしっかりと存在感を示す、AOR(CCM)とThe Brothers Johnsonの両方のファンを魅了する個性的な音になっている。

ひときわ美しいメロディと抜群の透明感のある「Faith Walking People」は、Amy Grantの79年のアルバム『My Father's Eyes』の収録曲。Valerie Johnsonの歌声も、Amy Grantのように美しい。

Louis Johnsonは2015年の5月に60歳で他界した。ヒット曲における演奏では、Michael Jacksonの「Billie Jean」(83年)が有名だが、同じMichaelでも、Michael McDonaldの「I Keep Forgettin'」(82年)のベース・ラインは、Warren G. & Nate Doggの「Regulate」(94年, 米2位)など、多くのラップ・ソングのバック・トラックにサンプリングされている。

●収録曲
  1. Have You Heard The Word - 4:29
  2. You Can't Be Livin' - 4:52
  3. Faith Walking People - 3:34
  4. I See The Light - 4:33
  5. The Great Flood - 3:39
  6. Open Up Your Heart - 3:48
  7. Power - 4:09
  8. Love Eyes - 3:33
  9. The Son Will Come Again - 4:04

◆プロデュース: Louis Johnson

◆参加ミュージシャン: Louis Johnson(b, g, k, vo, ar), Valerie Johnson(vo), Richard Heath(per, bv)
with David Williams/Curtis Nolen/Greg Moore(g), David Wolinski/Rene Moore/Raymond Crossley(k), Ricky Lawson/John Robinson(ds), David Diggs(ar), etc

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