Silver / Silver (シルヴァー・ファースト) (1976年) – アルバム・レビュー

2023年5月5日

おすすめのアルバムをショート・レビューで紹介する「アルバム・レビュー」。今日は、Silverの1976年のアルバム『Silver / シルヴァー・ファースト』の紹介です。

Silver / Silver (シルヴァー・ファースト) (1976年) フロント・カヴァー

SilverはLAで結成された5人組。元Batdorf & RodneyのJohn Batdorf(vo, g)と後にGrateful Deadに参加するBrent Mydland(vo, k)、The Eaglesの創設メンバーであるBernie Leadonの弟のTom Leadon(vo, b)等によって1976年に結成された。ウェストコースト産の爽やかなヴォーカル・ハーモニーを聴かせる素敵なグループであるが、本作一枚を残して解散した。

いきなりのメランコリックなバラード「Musician (It's Not an Easy Life)」に感動する。この1曲を聴くためだけにアルバムを手にする価値がある。

この曲は、ミュージシャンとして生きていくことの決意と悲哀を歌っている。サビでは

To be a musician
And I can see
It's not an easy life
It's not an easy life to live.

と歌い、

And I keep on smilin'
Ooooh smilin'
Smilin' to hide the pain
Inside I'm cryin'
Ooooh cryin'
And it's hard
It's hard to explain

と続ける。これをエレピの優しい伴奏と爽やかなヴォーカル・ハーモニーを主体に最後まで切々と歌う。しみじみとした感動を覚える名曲だ。

作者のBrent Mydlandはこの歌のように生きた。79年にGrateful Deadのメンバーになり、90年まで活動し、その年に37歳の若さで亡くなっている(死因はドラッグ)。Brent Mydlandが書いたもう1曲「Climbing」も素晴らしい歌で、高みを目指して上り続けることの希望と不安を歌っている。

収録された10曲のうち7曲がメンバーのオリジナルで、John Batdorfが2曲(6, 10)、Brent Mydlandが2曲(1, 7)、Greg Collierが3曲(4, 5, 9)を書いている。

他作の曲のうち、ポップで爽やかな「Wham Bam (Shang-A-Lang) / 恋のバンシャガラン」はシングル・カットされ、Billboard Hot 100チャートの16位となるヒットを記録した。

「All I Wanna Do」と「Trust in Somebody」も明るくノリの良い曲だが、全体的にはスロー~ミディアム・テンポの穏やかな曲が占める。ラストではEaglesが歌いそうな渋いナンバーの「Goodbye, So Long」を歌い、本当にグループの最後になった。陽気な邦題の付いた「恋のバンシャガラン」の爽やかな "sha la la la" も、何だか刹那的に聴こえる。

●収録曲
  1. Musician (It's Not an Easy Life) - 4:47
  2. All I Wanna Do - 2:40
  3. Memory / 想い出 - 3:28
  4. No Wonder - 6:01
  5. Trust in Somebody / 誰かを信じて - 3:32
  6. It's Gonna Be Alright - 3:06
  7. Climbing - 3:18
  8. Wham Bam (Shang-A-Lang) / 恋のバンシャガラン - 3:32
  9. Right on Time - 2:45
  10. Goodbye, So Long / さらば恋人よ - 3:44

◆プロデュース: Tom Sellers(ar), Silver(ar), Clive Davis

◆参加ミュージシャン: John Batdorf(vo, g), Greg Collier(vo, g), Brent Mydland(vo, k), Tom Leadon(vo, b), Harry Stinson(vo, ds)

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