i-Ten / Taking A Cold Look (1983年) – アルバム・レビュー
おすすめのアルバムをショート・レビューで紹介する「アルバム・レビュー」。今日は、i-Tenの1983年のアルバム『Taking A Cold Look』の紹介です。
i-Tenは、ソングライターのTom KellyとBilly Steinbergが結成したユニット。二人はこの1枚のみでユニットを解消しているが、後にソングライター・チームとして活動し、全米No.1ヒットを5曲生み出す大成功を収めている。その5曲とは、Madonnaの「Like A Virgin」(84年)、Cyndi Lauperの「True Colors」(86年)、Whitney Houstonの「So Emotional」(87年)、Heartの「Alone」(87年)、そしてThe Banglesの「Eternal Flame」(89年)。いずれも80年代を代表するエバーグリーンなヒット曲たち。
Tom Kellyは爽快なハイトーン・ヴォイスで歌うセッション・シンガーでもあり、70年代にはDenny Henson等とFools Goldを結成して2枚のアルバムを残している。
この『Taking A Cold Look』はi-Ten唯一のアルバムで、プロデュースをTOTOのギタリストのSteve LukatherがKeith Olsenと共同で担当した。全曲がTom KellyとBilly Steinbergの作で、メロディアスでキャッチーな曲が多い。
タイトル曲の「Taking A Cold Look」は、Mike Bairdの重ためなドラムスとLukatherのエッジの効いたギターをバックに、Tom Kellyがハイトーン・ヴォイスで歌うメロディアス・ロック。カナダのハード・ロック・バンドのHoneymoon Suiteが、88年のアルバム『Racing After Midnight』でこの曲をカヴァーしている。
3曲目の「Alone」は、Heartがヒットさせた「Alone」の原曲。メロディ運びがHeartの「Alone」とは微妙に違っており、聴き比べると面白い。
Reo Speedwagonは「I Don't Want To Lose You」を88年にカヴァー。その年に発売されたコンピレーション・アルバム『The Hits』に収録されている。また、ポップな「The Easy Way Out」は、Juice Newtonの84年のアルバム『Can't Wait All Night』でカヴァーされた。
TomとBillyの書いたヒット曲には、他にもCyndi Lauperの「I Drove All Night」(89年, 米6位)、Divinyls(ディヴァイナルズ)の「I Touch Myself」(90年, 米4位)、The Pretendersの「I'll Stand by You」(94年, 米16位)などがあり、どれも懐かしい。
Tom Kellyは90年代の終わりにセミ・リタイアするが、Billy Steinbergはその後もソングライターとして活躍。二人は2011年にソングライターの殿堂入りをしている。
- ●収録曲
- Talking A Cold Look
- Quicksand
- Alone
- Workin' For A Lovin
- Lonely In Each Other's Arms
- I Don't Want To Lose You
- Time To Say Goodbye
- The Easy Way Out
- I've Been Crying
- Pressing My Luck
◆プロデュース: Steve Lukather(g, k, sy), Keith Olsen
◆参加ミュージシャン: Tom Kelly(vo, g, k), Billy Steinberg(vo, g)
with Alan Pasqua/David Paich(k, sy), Mike Baird(ds), Dennis Belfield(b), Steve Porcaro/Peggy Sandvig(sy), Chas Sandford(g), Richard Page(bv), Lenny Castro(per)
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