Jackie Lomax / Did You Ever Have That Feeling? (1977年) – アルバム・レビュー

2019年11月17日

おすすめのアルバムをショート・レビューで紹介する「アルバム・レビュー」。今日は、Jackie Lomaxの1977年のアルバム『Did You Ever Have That Feeling?』の紹介です。

Jackie Lomax / Did You Ever Have That Feeling? (1977年) フロント・カヴァー

Jackie Lomaxはイングランド出身のシンガー・ソングライター。The Beatlesの設立したApple Recordsからデビューしており、そのデビュー・シングルがGeorge Harrisonの作/プロデュースであることや、デビュー・アルバムの『Is This What You Want?』(69年)もGeorgeのプロデュースであることから注目を集めた。

本作は5枚目のソロ・アルバム。Apple Recordsからのデビューは話題先行で不発に終わっており、2作目以降は渡米してレコード会社も移籍。本作はCapitol Recordsからのリリースである。ソウル・ミュージックへの憧れをストレートに表した内容で、メロウ、グルーヴィ、ファンキーの3要素を揃えた気持ちのいいアルバムだ。Capitol Recordsに移籍した前作『Livin' For Lovin' / 愛ある世界』から打ち出した路線であり、私は未聴だが前作は "英国のNed Doheny" と謳われる充実作らしい。

収録された9曲は全てJackie Lomaxのオリジナル。参加ミュージシャンにはJeff Beckとの活動で知られるMax Middletonの名前もあり、メロウな「Fine Lines」「Floating」の2曲ではドリーミーなMoog Synthesizerを弾いている。

「Part Of My Life」と「Room To Move」は白眉の出来。「Part Of My Life」のメロディやグルーヴは、まるでBoz Scaggsの「Lowdown」。Bozのような艶っぽさはないものの、爽やかで気持ちのいいナンバーだ。

続く「Room To Move」では、イントロの軽やかなフルートや温もりのあるメロディがErik Taggの77年の名作『Rendez-Vous』の収録曲を思わせる。とてもメロウでグルーヴィ。

ストリングスの使い方がビートルズのような「Only Fools (Fools Paradise)」を聴くとApple Records出身という感じがする。手の込んだカヴァー・アートも『Revolver』のイラストを手掛けたKlaus Voormannの制作。中身の音楽に必ずしもマッチしないが、見事なイラストだ。

Jackie Lomax / Did You Ever Have That Feeling? (1977年) バック・カヴァー

このアルバムはユニバーサルの「名盤発見伝」シリーズから2016年9月にSHM-CDで再発されている。前作『Livin' For Lovin' / 愛ある世界』のCDも同時に発売されており、併せてお薦め。

●収録曲
  1. One-Of-A-Kind - 3:45
  2. Just A Little Bit-O-Your Love - 4:30
  3. Soul Light - 4:08
  4. Only Fools (Fools Paradise) - 2:43
  5. Fine Lines - 2:40
  6. Part Of My Life - 3:56
  7. Room To Move - 3:56
  8. Floating - 4:04
  9. I Don'Wanna Live Without You - 5:24

◆プロデュース: Bob Manaco

◆参加ミュージシャン: Jackie Lomax(vo, g)
with Al Ciner(g), Ron Stockert(ar, k), Max Middleton(k), Marty David(b), Andre Fisher/Bugs Pemberton(ds), Jimmy Roberts(sax), Gene Dinwiddie(sax, flute), etc

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