Le Roux / So Fired Up (1983年) – アルバム・レビュー
おすすめのアルバムをショート・レビューで紹介する「アルバム・レビュー」。今日は、Le Rouxの1983年のアルバム『So Fired Up』の紹介です。
Le Roux(ル・ルー)は1978年にルイジアナ州で結成されたロック・バンド。当初はバンド名に "ルイジアナ" を付けて、Louisiana's Le Rouxを名乗っていたが、80年代になってからはLe Rouxに変えている。結成メンバーは、Jeff Pollard(vo), Tony Haselden(g), Leon Medica(b), David Peters(ds, per), Rod Roddy(k), Bobby Campo(horns, violin)の6人で、Jeffがバンドの中心であった。
この『So Fired Up』はLe Rouxの5作目。前作の『Last Safe Place』を発表後にJeffとBobbyの2人がバンドを離れ、代わりにFergie Frederiksen(vo)とJim Odom(g)が加わっている。
Fergie Frederiksenは、Bobby Kimballに代わるTOTOの2代目のリード・ヴォーカリストとして有名。TOTOの84年のアルバム『Isolation』のリード・ヴォーカルを担当し、1枚でTOTOを脱退している。Le Rouxの加入前はプログレ・ハードのTrillionに在籍しており、そこも78年のアルバム『Trillion / 氷牙』のみで脱退。基本的に、居場所を構えないところがある。
本作はAORというよりはメロディアス・ハードのアルバム。よく練られたメロディアスな曲を揃えていて、演奏も心地よくハード。だが、何よりも印象に残るのはFergie Frederiksenの超個性的かつ強力なヴォーカルであり、TOTOの『Isolation』と同じように、アルバムのカラーを決めている。
このアルバムからは、キャッチ-な「Carrie's Gone」がシングル・カットされ、全米79位をマークした。この曲は、Fergie Frederiksenの別れた彼女を題材にしたもので、その女性とは、後に女優として活躍するCarrie Hamilton。当時Carrieは19歳なので、31歳だったFergieとはひと回りも違う。
「Wait One Minute」は唯一のバラードで、Journeyの「Who's Crying Now」やForeignerの「Waiting for a Girl Like You」のような熟したメロディがロマンティック。メタリックなFergieの声はバラードに向かないと言われるが、この曲での情感を込めた歌唱はなかなか魅力的だ。
このアルバムにはAmbrosiaのDavid Packも参加していて、「Carrie's Gone」と「Turning Point」の2曲でバック・ヴォーカルを担当している。Le Rouxはこの後に一旦解散するが、85年に活動を再開。今も活動を続けており、本作のメンバーのTony(g), Jim(g), Rod(k)は健在だ。
- ●収録曲
- So Fired Up - 4:41
- Lifeline - 4:37
- Let Me In - 4:02
- Yours Tonight - 3:48
- Line On Love - 3:45
- Carrie's Gone - 3:54
- Wait One Minute - 4:36
- Turning Point - 5:03
- Don't Take It Away - 3:22
- Look Out - 4:18
◆プロデュース: Leon Medica(b, bv)
◆参加ミュージシャン: Tony Haselden(g, vo), Fergie Frederiksen(vo), Jim Odom(g, bv), Rod Roddy(k, bv), David Peters(ds, per, bv)
with David Pack(bv)
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