Michael And Stormie Omartian / The Builder (1980年) – アルバム・レビュー
おすすめのアルバムをショート・レビューで紹介する「アルバム・レビュー」。今日は、Michael And Stormie Omartianの1980年のアルバム『The Builder』の紹介です。
Michael Omartianはアメリカを代表する音楽プロデューサーの一人。Christopher CrossやPeter Cetera, Michael Bolton, Whitney Houstonなどのアルバムをプロデュースして数々のヒットを飛ばしたほか、1985年にはQuincy Jonesと共同で「We Are The World」をプロデュースしたことでも知られている。
また、キーボード奏者やシンガー・ソングライターとしても活動しており、ソロ・アルバムや奥様のStormieとの共同名義のアルバムを何作か残している。この『The Builder』は4作目。夫妻名義のアルバムとしては、2作目になる。
Omartian夫妻はアルバムの制作時に家を新築中だったようで、そのことが "The Builder" というタイトルや、家の骨組みを描いたフロント・カヴァーに表れている。また、ミュージシャンのクレジットを "Construction Crew (建築作業員)" と書いたり、ドラムスやベースを "Foundation (土台)"、ホーンズを "Framing (枠組み)"、ソリストを "Finish Work (仕上げ)" と記すなど、ユーモアがあって面白い。
曲作りに関しては、奥様が作詞を、Michaelが作曲を担当。メロディアスでカラフルで、聴いていて楽しい曲が多い。リード・ヴォーカルも二人で分担しており、とても息が合っている。
リード・ギターは、Jay GraydonとPhil Keaggyが担当。「The Only Thing Missing Is You」の滑らかでエレガントなギターは、一聴してJay Graydonと分かる。また、「Big Time」の冒頭で、"受話器で会話する男二人" をMichaelと演じているのはJay Graydonである。
一方のPhil Keaggyは、60年代からプロとして活動するギターの名手。ラストの「End Times」のソロなどは、なかなかスリリングだ。中田利樹氏の書いたライナー・ノーツによると、Eddie Van Halenが「ギターに関する質問は俺なんかじゃなく、Phil Keaggyに訊いてくれよ」と語ったとか。
本作は2000年にクール・サウンドから世界初CD化された。素敵なAORを楽しめるアルバムなのに、その後の再発がないのが残念…。
- ●収録曲
- Charlie's Dream - 3:53
- The Only Thing Missing Is You - 3:58
- The Builder - 3:53
- Mr. Trash Man - 3:40
- Anything You Ask Of Me - 3:50
- Dr. Jesus - 4:20
- Big Time - 5:02
- Half Past Three - 3:20
- End Times (The Signs Are Clear) - 5:53
◆プロデュース: Michael Omartian(ar, vo, k, per)
◆参加ミュージシャン: Stormie Omartian(vo), Marty Walsh/Jay Graydon/Phil Keaggy(g), Abraham Laboriel(b), Paul Leim(ds), Alex Acuna(per), Kim Hutchcroft(sax), etc
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