Michael And Stormie Omartian / The Builder (1980年) – アルバム・レビュー

2019年11月12日

おすすめのアルバムをショート・レビューで紹介する「アルバム・レビュー」。今日は、Michael And Stormie Omartianの1980年のアルバム『The Builder』の紹介です。

Michael And Stormie Omartian / The Builder (1980年) フロント・カヴァー

Michael Omartianはアメリカを代表する音楽プロデューサーの一人。Christopher CrossやPeter Cetera, Michael Bolton, Whitney Houstonなどのアルバムをプロデュースして数々のヒットを飛ばしたほか、1985年にはQuincy Jonesと共同で「We Are The World」をプロデュースしたことでも知られている。

また、キーボード奏者やシンガー・ソングライターとしても活動しており、ソロ・アルバムや奥様のStormieとの共同名義のアルバムを何作か残している。この『The Builder』は4作目。夫妻名義のアルバムとしては、2作目になる。

Omartian夫妻はアルバムの制作時に家を新築中だったようで、そのことが "The Builder" というタイトルや、家の骨組みを描いたフロント・カヴァーに表れている。また、ミュージシャンのクレジットを "Construction Crew (建築作業員)" と書いたり、ドラムスやベースを "Foundation (土台)"、ホーンズを "Framing (枠組み)"、ソリストを "Finish Work (仕上げ)" と記すなど、ユーモアがあって面白い。

曲作りに関しては、奥様が作詞を、Michaelが作曲を担当。メロディアスでカラフルで、聴いていて楽しい曲が多い。リード・ヴォーカルも二人で分担しており、とても息が合っている。

リード・ギターは、Jay GraydonとPhil Keaggyが担当。「The Only Thing Missing Is You」の滑らかでエレガントなギターは、一聴してJay Graydonと分かる。また、「Big Time」の冒頭で、"受話器で会話する男二人" をMichaelと演じているのはJay Graydonである。

一方のPhil Keaggyは、60年代からプロとして活動するギターの名手。ラストの「End Times」のソロなどは、なかなかスリリングだ。中田利樹氏の書いたライナー・ノーツによると、Eddie Van Halenが「ギターに関する質問は俺なんかじゃなく、Phil Keaggyに訊いてくれよ」と語ったとか。

本作は2000年にクール・サウンドから世界初CD化された。素敵なAORを楽しめるアルバムなのに、その後の再発がないのが残念…。

●収録曲
  1. Charlie's Dream - 3:53
  2. The Only Thing Missing Is You - 3:58
  3. The Builder - 3:53
  4. Mr. Trash Man - 3:40
  5. Anything You Ask Of Me - 3:50
  6. Dr. Jesus - 4:20
  7. Big Time - 5:02
  8. Half Past Three - 3:20
  9. End Times (The Signs Are Clear) - 5:53

◆プロデュース: Michael Omartian(ar, vo, k, per)

◆参加ミュージシャン: Stormie Omartian(vo), Marty Walsh/Jay Graydon/Phil Keaggy(g), Abraham Laboriel(b), Paul Leim(ds), Alex Acuna(per), Kim Hutchcroft(sax), etc

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