Rickie Lee Jones / Pirates (1981年) – アルバム・レビュー
おすすめのアルバムをショート・レビューで紹介する「アルバム・レビュー」。今日は、Rickie Lee Jonesの1981年のアルバム『Pirates』の紹介です。
Rickie Lee Jonesはシカゴ生まれのシンガー・ソングライター。彼女は19歳の頃からロサンゼルスのバーやクラブで歌うようになり、25歳の時にレコード・デビューを果たす。そのデビュー・アルバム『浪漫』(79年)からは「恋するチャック」のヒット(米4位)が生まれ、アルバムもチャートの3位を記録。翌年のグラミー賞では、彼女が「Best New Artist」を受賞した。
本作『Pirates』はセカンド・アルバム。前作に続いて、Russ TitlemanとLenny Waronkerがプロデュースを担当し、前作よりもジャズ色を強めて、全体をクールに仕上げている。参加ミュージシャンの名前にもジャズ/フュージョンの名手が並ぶ。
収録された8曲は全てRickie Lee Jonesのオリジナルだが、このうちの2曲(4, 7)は、各々David Kalish、Sal Bernardiとの共作。Sal Bernardiは、当時の彼女のボーイ・フレンドのようだ。
彼女の歌声は自由奔放。クールでいなせに歌うかと思えば、ナイーヴに、フラジャイルに歌ったり、時おり女っぽい表情を見せたりと、移ろう。彼女の歌声のように、曲のテンポやムードも変わるが、腕達者なバック・ミュージシャンがしっかりサポートしている。
彼女の歌をじっくり聴かせる瑞々しい曲が多い中で、ビートらしいビートがあるのは、「Woody and Dutch on the Slow Train to Peking」とタイトル曲の「Pirates」ぐらい。「Woody and Dutch on the Slow Train to Peking」は、フィンガー・スナップを使ってドゥーワップ調に歌う賑やかな曲。「Pirates」は、シャッフルやクールなホーンがSteely Danみたいに洒落た曲。実際、この曲ではDonald Fagenがシンセを弾いている。
ボーイ・フレンドのSal Bernardiと共作した「Traces of the Western Slopes」は8分の大作。静かながらドラマティックな展開を見せる曲で、歌詞に出てくるE.A. PoeはEdgar Allan Poe(エドガー・アラン・ポー)だろうから、影響を受けたか参考にしたのだろう。
このアルバムはBillboard 200チャートの5位となり、デビュー作に続いてトップ10入りを果たした。フロント・カヴァーには、ハンガリー出身でパリで活躍した写真家Brassaï(ブラッシャイ)の76年の写真が使われている。街角の恋人たちの親密で幸せそうな一瞬を撮ったモノクロ写真。バック・カヴァーでは、Rickie Lee Jonesが可憐にポーズを決めている。
- ●収録曲
- We Belong Together - 4:59
- Living It Up - 6:23
- Skeletons - 3:37
- Woody and Dutch on the Slow Train to Peking - 5:15
- Pirates (So Long Lonely Avenue) - 3:50
- A Lucky Guy - 4:14
- Traces of the Western Slopes - 8:00
- The Returns - 2:20
◆プロデュース: Russ Titleman, Lenny Waronker
◆参加ミュージシャン: Donald Fagen/Neil Larsen/Russell Ferrante(k), Buzzy Feiten/Dean Parks/Steve Lukather(g), Chuck Rainey(b), Steve Gad/Art Rodriguez(ds), David Sanborn/Tom Scott(sax), Randy Brecker(tp), Lenny Castro/Victor Feldman(per), Sal Bernardi(vo, harmonica), Leslie Smith/Arno Lucas(bv), Nick DeCaro(string ar), etc
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