Stephen Bishop / Careless (1976年) – アルバム・レビュー

2023年5月8日

おすすめのアルバムをショート・レビューで紹介する「アルバム・レビュー」。今日は、Stephen Bishopの1976年のアルバム『Careless』の紹介です。

Stephen Bishop / Careless (1976年) フロント・カヴァー

Stephen Bishopは、詩情豊かでロマンティックな曲を作ることで人気のあるシンガー・ソングライター。特に、自分の愛称をタイトルにした1978年のアルバム『Bish / 水色の手帖』は、AORの人気作になっている。

映画音楽も手がけていて、85年の映画『White Nights』の挿入曲で、Phil CollinsとMarilyn Martinの歌で全米1位を獲得した「Separate Lives」はBishopの作。また、82年の映画『トッツィー』では、Bishopの歌ったテーマ曲「It Might Be You」がAdult Contemporaryチャートの1位になった。顔立ちの良さから、『The Blues Brothers』(80年)などの映画には俳優として出演している。

この『Careless』は、Stephen Bishopのデビュー作。ここから、「On And On」(米11位)、「Save It For A Rainy Day / 雨の日の恋」(米22位)のヒットが生まれている。親しみやすいメロディの「On And On」は、リラックスしたポップ・ソング。Bishopのハイ・テナー・ヴォイスは甘く優しいタッチで、高音域をファルセットで歌うときも、とても綺麗に響かせる。

「雨の日の恋」はポップで軽快なナンバー。間奏ではEric Claptonが短いギター・ソロを披露し、終盤ではChaka Khanが力強いバック・ヴォーカルで曲を盛り上げる。

収録曲は全てStephen Bishopの自作で、その多くは瑞々しいバラード。アップテンポな曲も、アコースティックな風合いのある爽やかなものが多い。

Chaka Khanはしっとりしたバラードの「Never Letting Go」でも歌っている。この曲はアルバムの中で私の一番好きな曲。"never letting go" のリフレインを聴くと、切なさがこみ上げてくる。

「Same Old Tears On A New Background」は、Art Garfunkelの75年のアルバム『愛への旅立ち』に提供した曲のセルフ・カヴァー。そのアルバムには、「Looking For The Right One」という甘美なバラードも提供していて、そちらは『Bish / 水色の手帖』のほうでセルフ・カヴァーされている。

Stephen Bishopはとてもお洒落。モノクロのフロント・カヴァーからは分からないが、バック・カヴァーでは、白いジャケットにピンクのシャツ、ネクタイに帽子という恰好で、足元をスニーカーで崩している。自身のサイト stephenbishop.com のデザインもスタイリッシュだ。

Stephen Bishop / Careless (1976年) バック・カヴァー
●収録曲
  1. On And On - 3:00
  2. Never Letting Go - 3:45
  3. Careless - 3:42
  4. Sinking In An Ocean Of Tears - 3:08
  5. Madge - 4:03
  6. Every Minute - 3:57
  7. Little Italy - 3:35
  8. One More Night - 3:58
  9. Guitar Interlude - 0:32
  10. Save It For A Rainy Day / 雨の日の恋 - 3:10
  11. Rock And Roll Slave - 3:35
  12. The Same Old Tears On A New Background - 2:38

◆プロデュース: Henry Lewy, Stephen Bishop(vo, g)

◆参加ミュージシャン: Eric Clapton/Andrew Gold/Jay Graydon(g), Craig Doege(k), Jim Gordon/Russ Kunkel(ds), Art Garfunkel/Chaka Khan/Leah Kunkel(bv), etc

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