Billy Joel / 52nd Street (ニューヨーク52番街) (1978年) – アルバム・レビュー
おすすめのアルバムをショート・レビューで紹介する「アルバム・レビュー」。今日は、Billy Joelの1978年のアルバム『52nd Street / ニューヨーク52番街』の紹介です。
Billy Joelはアメリカを代表するシンガー・ソングライター。ピアノ・マンや街角の吟遊詩人、エンターテイナー、ストレンジャーと、デビュー以来さまざまに自己表現をしてきたBillyの通算6作目となるスタジオ・アルバムが本作だ。
ジャズ/フュージョン系のゲスト・ミュージシャンを多数起用し、Billyのアルバムの中では最もクールな作品。フロント・カヴァーの立ち姿もクールに決めている。ボトムスはジーンズにスニーカー。トップスはジャケットにシャツのネクタイを緩め、手にはトランペットを握る。
曲は粒ぞろい。前作『The Stranger』の成功を象徴する「Big Shot」、その虚しさを歌った「Honesty」、ChicagoのDonnie DacusとPeter Ceteraのバック・ヴォーカルが爽やかな「My Life」、Freddie Hubbardが間奏とエンディングでクールなトランペット・ソロを披露する「Zanzibar」と、特にアルバム前半のレベルの高さはBillyのアルバムの中でも一番だろう。
全曲がBillyの作である。デビュー以来、カヴァー曲も共作曲もない。"俺の歌う曲は俺が書くんだよ" という、シンガー・ソングライターとして当たり前のことを続ける姿勢がカッコいい。
「My Life」はBillboard Hot 100チャートの3位となるヒットを記録。「Big Shot」は14位、「Honesty」も24位をマーク。アルバムはBillboard 200チャートで初の1位を獲得し、79年のグラミー賞では「Album of the Year」と「Best Pop Vocal Performance, Male」の2部門を受賞。前作に続くグラミー受賞となった。
「Big Shot」の堂々とした音には、成功を手に入れた自信が漲る。ところが続く「Honesty」では一転、僕の求めているのは信じられる相手なのだと歌う。ストレートな歌詞と切ないメロディ、Billyの熱唱が感動的だ。
Honesty is such a lonely word
Everyone is so untrue
Honesty is hardly ever heard
And mostly what I need from you
Billyの2005年のBOXセット『My Lives』には、「Zanzibar」のフェード・アウトしないバージョンが収録されている。エンディングの2分以上も続くFreddie Hubbardのトランペット・ソロが聴きものだ。
- ●収録曲
- Big Shot - 4:03
- Honesty - 3:56
- My Life - 4:44
- Zanzibar - 5:13
- Stiletto / 恋の切れ味(スティレット) - 4:42
- Rosalinda's Eyes / ロザリンダの瞳 - 4:41
- Half A Mile Away / 自由への半マイル - 4:08
- Until The Night - 6:35
- 52nd Street / ニューヨーク52番街 - 2:27
◆プロデュース: Phil Ramone
◆参加ミュージシャン: Billy Joel(vo, k), Doug Stegmeyer(b), Liberty DeVitto(ds), Richie Cannata(sax), Steve Khan(g), Freddie Hubbard(tp), Mike Mainieri(vibes), David Spinozza(ag), Donnie Dacus/Peter Cetera(bv), etc
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