Lamont Dozier / Working On You (1981年) – アルバム・レビュー

2019年11月12日

おすすめのアルバムをショート・レビューで紹介する「アルバム・レビュー」。今日は、Lamont Dozierの1981年のアルバム『Working On You』の紹介です。

Lamont Dozier / Working On You (1981年) フロント・カヴァー

Lamont Dozierは、60年代の米モータウン・レコード専属のソングライター・チームであるHolland–Dozier–Hollandの一人。彼らはEddie(兄)とBrian(弟)のHolland兄弟にLamont Dozierを加えたチームで、DozierとBrianが作曲を、Eddieが作詞を担当していた。The Supremesの「Stop! In the Name of Love」や「You Can't Hurry Love / 恋はあせらず」、Four Topsの「Reach Out I'll Be There」など、彼らが書いた全米No.1ヒットは10曲を超えており、モータウン・サウンドの発展に貢献している。

Dozierは70年代以降にソロ・アルバムも出しており、この『Working On You』は80年代最初のアルバム。プロデュースを自ら手がけ、全曲を自作し、Smokey Robinsonを思わせる少し高めの情熱的な声で歌っている。

モータウンのヒット・メイカーだっただけに、メロディの良い曲を揃えている。メロディの瑞々しさではバラード・ナンバーの「Why」が素晴らしい。きらめくメロディと甘く切ない歌声。静かに感情をこめた "Why" のシャウトが鳥肌モノ。スローからミディアム・テンポへと変化する起伏に富んだ曲調もいい。

Wired Up」や「You Made Me A Believer」のようなモダンでエレガントなソウル・ナンバーも素敵。数々のソウル/ディスコ・ヒットを手がけたBenjamin Wrightが流麗なストリングスをアレンジしている。

80年代には英国アーティストとの仕事も多い。Simply Redの87年のアルバム『Men and Women』や89年のアルバム『A New Flame』でMick Hucknallと数曲を共作。また、88年にはPhil Collinsと「Two Hearts」を共作し、再び全米1位を獲得している。

ちなみに、Phil Collinsはモータウンのヒット曲を好んで歌う。82年には「恋はあせらず」をカヴァーして全米10位となるヒットを記録したほか、2010年には60年代のモータウンやソウル・スタンダードをカヴァーした『Going Back』を発表し、Holland–Dozier–Holland作のナンバーを7曲歌っている。

●収録曲
  1. Cool Me Out - 5:09
  2. Why (Ain't My Love Enough) - 4:38
  3. Nobody Told Me - 3:48
  4. Too Little Too Long - 4:36
  5. Playing For Keeps - 3:42
  6. Interlude - 0:55
  7. (You Got Me) Wired Up - 4:04
  8. Starting Over (We've Made The Necessary Changes) - 4:36
  9. Working On You - 3:39
  10. Chained (To Your Love) - 4:39
  11. You Made Me A Believer - 3:58

◆プロデュース: Lamont Dozier(vo, k)

◆参加ミュージシャン: Paul Jackson Jr./Frank Dookun(g), John Barnes(sy), Nathan East(b), Paulinho Da Costa(per), Quintin Denard(ds), Tony Patler(b, k), Benjamin Wright/Hense Powell(string ar), The Waters(bv), etc

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