Gino Vannelli / Crazy Life (1973年) – アルバム・レビュー

おすすめのアルバムをショート・レビューで紹介する「アルバム・レビュー」。今日は、Gino Vannelliの1973年のアルバム『Crazy Life』の紹介です。

Gino Vannelli / Crazy Life (1973年) フロント・カヴァー

Gino Vannelliはカナダ生まれのシンガー・ソングライター。風格のあるドラマティックな曲を作り、圧倒的な声量で燃えるように情熱的に歌う。神々しい輝きを放つそのサウンドと歌声は多くの音楽ファンを惹きつけ、プロのミュージシャンからも高い評価を得ている。

このイメージのGino Vannelliを代表するアルバムを挙げるとしたら、全米チャートの4位を記録した「I Just Wanna Stop」を含む『Brother To Brother』(1978年)や、それに続く『Nightwalker』(81年)になるだろう。

今日紹介する『Crazy Life』はGino Vannelliのデビュー・アルバム。ボサノヴァ・タッチの穏やかにリラックスしたサウンドは上に挙げた2作とは趣きが異なるが、Ginoの歌声の神々しさはそのままだ。

アルバムをプロデュースしたのは、トランペット奏者でありA&Mレコードの創始者としても知られるHerb Albert(A&Mレコードの "A")。収録された9曲は全てGino Vannelliのオリジナルの楽曲で、ほとんどは3分に満たない長さだが、どれも豊かな味わいを残す。

では、ここから3曲をピック・アップ。

まずは、タイトル曲の「Crazy Life」。タイトルのような熱狂ではなく、穏やかなエモーションのあるナンバーで、ゆったりしたリズムと異国情緒の感じられるメロディが心地いい。エコーのかかったGino Vannelliの歌声には21歳とは思えない余裕と貫禄がある。

2曲目は、同じ路線の「Cherizar」。とても甘美でロマンティックなナンバーだ。「There's No Time」「Granny Goodbye」「Cherizar」、そしてラストの「Piano Song」と、奇数番目に同じ路線のメロウ・ナンバーが続く。

3曲目は「Great Lake Canoe」。後のアルバムの収録曲に見られるような凝った演奏や構成ではないが、本作の中では珍しく起伏のある演奏が繰り広げられる。本作には参加ミュージシャンのクレジットはなく、唯一あるのは兄のJoe Vannelliの名前だけ。兄弟でほとんどの楽器を演奏しているのかも知れない。

このアルバムは1990年と2006年にCD化されているが、その後は長らく入手困難な状況に…。私も再発を待ち望んでいたが、願い叶って2020年12月に「AOR~Light Mellow 1000」シリーズから久々の再発となった。メロウ路線のGino Vannelliを味わいたい方におすすめ。

●収録曲
  1. Crazy Life - 2:53
  2. Hollywood Holiday - 2:59
  3. There's No Time - 2:58
  4. Fling Of Mine - 2:23
  5. Granny Goodbye - 2:25
  6. Great Lake Canoe - 2:53
  7. Cherizar - 3:06
  8. One Woman Lover - 2:28
  9. Piano Song - 1:59

◆プロデュース: Herb Alpert

◆参加ミュージシャン: gino Vannelli(vo, ar), Joe Vannelli(ar)

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