The Boys Band / The Boys Band (1982年) – アルバム・レビュー

2019年11月12日

おすすめのアルバムをショート・レビューで紹介する「アルバム・レビュー」。今日は、The Boys Bandの1982年のアルバム『The Boys Band / ドント・ストップ・ミー』の紹介です。

The Boys Band / The Boys Band (1982年) フロント・カヴァー

The Boys Bandはアメリカ南部出身の3人組。メンバーはGreg Gordon(vo), Rusty Golden(k), B.James Lowry(g)で、3人はゴスペル・カントリーの大御所グループであるThe Oak Ridge Boysのライヴやツアー・サポートなどを通じて知り合った。

本作はThe Boys Bandの唯一のアルバム。ほどよい哀愁味のあるメロディ。男っぽいヴォーカルと爽やかなバック・コーラス。Joe ChemayバンドからBilly Walker(g), John Hobbs(k), Joe Chemay(b), Paul Leim(ds)が参加しており、演奏もしっかり。バランスのいいアルバムである。

10曲の収録曲のうちメンバーの自作は「We're Lovers」のみで、それ以外は他作の曲やカヴァー曲を収録。「Think About It / 追憶のウーマン」はデビューしたてのGreg Guidryの作で、たそがれたメロディとキャッチーなサビはGreg Guidryならではの渋い味わい。メロディの温かさがじわりとくる「Taking It All In Stride / 悲しみにさようなら」はTom Snowの75年のデビュー・アルバムのタイトル曲だ。

清らかなアコースティック・ナンバーの「What's Forever For? / 恋はつかのま」は、England Dan & John Ford Coleyの79年のアルバム『Dr. Heckle and Mr. Jive』の収録曲。ポップでメロウな「Runner」は、Ian Thomasの81年のアルバム『The Runner』のタイトル曲である。

ラストの「The Best Is Yet To Come / まだ見ぬ仕合わせ」は、Larry Leeの同年のアルバム『Marooned / ロンリー・フリーウェイ』にも収録された曲。スウィートなLarry Leeバージョンと違い、気持ちを込めてしっとりと歌い上げている。

ファースト・シングルになった「Don't Stop Me Baby (I'm On Fire)」がとても爽やかだ。この曲はBillboard Hot 100チャートの61位を記録し、アルバムの邦題にもなった。アルバム・カヴァーは何だかKing Crimsonの『Red』のように重々しいが、この1曲目を聴くといい意味で裏切られる。

AOR寄りの選曲や、Joe Chemayバンドがサポートしていることから、AOR好きの間で長らくCD化が望まれていたアルバム。2016年10月に念願叶って、ワーナーの「AOR BEST SELECTION 1300」シリーズから世界初CD化されている。

●収録曲
  1. Don't Stop Me Baby (I'm On Fire) - 3:27
  2. Think About It / 追憶のウーマン - 3:32
  3. Taking It All In Stride / 悲しみにさようなら - 3:55
  4. What's Forever For? / 恋はつかのま - 3:21
  5. Runner - 3:15
  6. Is It Better Than Me - 3:10
  7. On A Night Like This / 夜の告白 - 3:15
  8. We're Lovers - 3:58
  9. Love Will Find A Heart / 揺らめくハート - 3:24
  10. The Best Is Yet To Come / まだ見ぬ仕合わせ - 2:26

◆プロデュース: Peter Granet

◆参加ミュージシャン: Greg Gordon(vo), Rusty Golden(k, bv), B.James Lowry(g, bv)
with Billy Walker/Robert Duncan Cameron(g), John Hobbs(k), Joe Chemay/David Wood(b), Paul Leim(ds), Lalo Schifrin(orch ar), etc

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