Larry Lee / Marooned (ロンリー・フリーウェイ) (1982年) – アルバム・レビュー

2020年2月8日

おすすめのアルバムをショート・レビューで紹介する「アルバム・レビュー」。今日は、Larry Leeの1982年のアルバム『Marooned / ロンリー・フリーウェイ』の紹介です。

Larry Lee / Marooned (ロンリー・フリーウェイ) (1982年) フロント・カヴァー

Larry Leeは米カントリー・ロック・バンドのThe Ozark Mountain Daredevils (O.M.D.) の元メンバー。1972年のバンド結成からドラマーやソングライターとして活躍し、82年にバンドを辞めている。O.M.D.の最大のヒットになった「Jackie Blue」(75年, 米3位)はLarryの手がけた曲だ。

この『Marooned』はLarry Leeの唯一のソロ・アルバム。ジャケットのカラフルで爽やかなイラストは鈴木 英人氏によるデザインで、日本盤向けに制作されたもの。同じ年に発売された山下達郎の名作『For You』のイラストとよく似ていて、夏、若者、ドライヴといったイメージにぴったり。オリジナルのジャケットはLarry本人を写したシックなデザインで、秋の気配を感じさせる。

Larry Lee / Marooned (ロンリー・フリーウェイ) (1982年) オリジナル・フロント・カヴァー

アルバムの内容はポップで爽やかなAORで、日本盤のジャケットに合っている。Larryは6曲(3, 5, 6, 8-10)を書いており、このうちの2曲(9, 10)はO.M.D.時代のヒット曲「Jackie Blue」を一緒に書いたSteve Cashとの共作だ。

1曲目の「Waiting To Let Go」は、キリリとしたピアノのイントロから爽やかなロック・ナンバーへと変わる。甘酸っぱさのあるLarryのヴォーカルや、伸び伸びと弾くJon Goinのギターの音が気持ちいい。Jon GoinはWilson Brothersの『Another Night』(79年)のタイトル曲でも、印象に残るギター・ソロを弾いている。

ポップで明るい「Don't Talk / ロンリー・フリーウェイ」はアルバムの邦題になり、91年の邦画『波の数だけ抱きしめて』にも使われた。全米チャートでは81位どまりだったが、The Shadowsのリード・ギタリストのHank Marvinが同年のアルバム『Words And Music』でこの曲を歌い、UKチャートの49位になっている。

落ち着いたバラードの「The Best Is Yet To Come」は、英国人ソングライターのClifford T. Wardの作。女優のPatty Weaverが同年のアルバム『Patty Weaver』で歌うなど、多くのアーティストにカバーされた名曲だ。Clifford T. Wardのセルフ・バージョンは83年のアルバム『Both Of Us』で聴くことができる。

「Only Seventeen」や「Just Another Girlfriend」のようなカジュアルでポップな曲を聴くと、80年代という感じがする。「Only Seventeen」も英国人ソングライターのAlan Tarneyの作。この人は、A-haの84年の大ヒット曲「Take On Me」のプロデューサーでもある。

ラストの「Hang On」はビターな味わいのメランコリックなナンバー。エレピの優しい音とギターの乾いたカッティングの音が気持ちよく、クール・ダウンにちょうどいい。

本作以降は再びフォーク/カントリー・シーンへと戻ったようで、2000年以降は元O.M.D.のRandle ChowningとBeyond Reachというユニットを組み、2005年, 2011年, 2014年にアルバムを発表している。

●収録曲
  1. Waiting To Let Go - 4:24
  2. Don't Talk / ロンリー・フリーウェイ - 3:19
  3. Marooned / ひとりぼっちのアフタヌーン - 5:01
  4. The Best Is Yet To Come / 乾いた季節 - 3:05
  5. Number One Girl / 君はナンバー・ワン - 3:34
  6. Satisfaction Guaranteed (I Could Give You Love) / サティスファクション - 3:19
  7. Only Seventeen - 4:04
  8. Hollywood / 哀しみハリウッド - 4:58
  9. Just Another Girlfriend / アナザー・ガールフレンド - 3:14
  10. Hang On - 3:49

◆プロデュース: John Ryan

◆参加ミュージシャン: Jon Goin(g), Nicky Hopkins(k), Gabriel Katona(sy), David Hungate(b), Mike Baird(ds), Lenny Castro(per), David Sanborn(sax), Bill Champlin/Tom Kelly/Richard Page/Rick Danko/Rosemary Butler(bv), etc

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