Randy Goodrum / Fool’s Paradise (1982年) – アルバム・レビュー

2021年9月25日

おすすめのアルバムをショート・レビューで紹介する「アルバム・レビュー」。今日は、Randy Goodrumの1982年のアルバム『Fool's Paradise』の紹介です。

Randy Goodrum / Fool's Paradise (1982年) フロント・カヴァー

Randy Goodrumは、Anne MurrayやSteve Perryを始めとする様々なミュージシャンに曲を提供しているソングライター。有名なところでは、Anne Murrayの「You Needed Me」(78年, 米1位, グラミー受賞)やSteve Perryの「Oh Sherrie」(84年, 米3位)、TOTOの「I'll Be Over You」(86年, 米11位)などのヒット曲がある。日本ではオフコースの英詞を担当したこともあるようだ。

このアルバムはRandy Goodrumのソロ・デビュー作。Steely Danのエンジニアを担当したElliot Scheinerが共同プロデュースしたせいか、サウンドの質感やホーンの使い方がSteely Danの『Aja』(77年)や『Gaucho』(80年)、Donald Fagenの『The Nightfly』(82年)のように上品でクールだ。

収録曲は全てRandy Goodrumのオリジナルで、リラックスした品のいい曲が揃っている。Randy Goodrumはソフトで知的なヴォーカル・スタイルであり、粋な歌い方はMichael FranksやBen Sidranを思わせる。

Jeff Porcaroが全曲でドラムスを担当しているのも嬉しい。「One More Fool」や「One Step Ahead Of The Bad News」の軽やかなシャッフルは、Jeff Porcaroならでは。

バラード系も素晴らしく、「Second Chance At Love」ではMary MacGregorという澄み切った美声の女性シンガーとデュエットしており、とてもロマンティック。

ロマンティックという点では「Time To Say I'm Sorry」もうっとりするような一曲。モノトーンのジャケットは、Donald Fagenの『The Nightfly』のようにかっこいいし、ピアノに一人向き合うバック・カヴァーも素敵。「Fool's Paradise」や「One More Fool」の "fool" というワードにも独特のロマンティックなニュアンスがあって、トータルに雰囲気のいいアルバムだ。

Randy Goodrum / Fool's Paradise (1982年) バック・カヴァー

※追記:2021年9月22日にUniversal Music Japanの "入手困難盤復活!! 続・ロック黄金時代の隠れた名盤〈1976-1985編〉" と題するシリーズから、このアルバムのCDが再発された。解説・歌詞・対訳付で、税込1,100円というリーズナブルな価格。おすすめです。

●収録曲
  1. We're So Close - 3:39
  2. One More Fool - 3:50
  3. Savin' It Up - 3:34
  4. Win Back Your Heart - 2:46
  5. Dues - 4:31
  6. One Step Ahead Of The Bad News - 3:46
  7. Second Chance At Love - 3:53
  8. Fool's Paradise - 3:57
  9. Time To Say I'm Sorry - 4:10
  10. Hellbent For Mexico - 3:15

◆プロデュース: Elliot Scheiner(per), Randy Goodrum(vo, k, ar)

◆参加ミュージシャン: Mary MacGregor(vo), Steve Khan/Jeff Southworth(g), Neil Jason(b), Jeff Porcaro(ds), Timmy Cappello(sax), Kacey Cisyk/Frank Floyd/Zach Sanders/Beckie Foster(bv), Rob Mounsey(ar), etc

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