The Joe Chemay Band / The Riper The Finer (1982年) – アルバム・レビュー

おすすめのアルバムをショート・レビューで紹介する「アルバム・レビュー」。今日は、The Joe Chemay Bandの1982年のアルバム『The Riper The Finer / L.A.プレゼンツ』の紹介です。

The Joe Chemay Band / The Riper The Finer (1982年) フロント・カヴァー

The Joe Chemay Bandは、ベースとコーラス担当のセッション・ミュージシャンとして活躍するJoe Chemayが1981年に結成したバンド。Joe Chemayは大物アーティストのレコーディングにも数多く参加しており、70年代のアルバムで例を挙げると、Elton Johnの『Blue Moves』(76年)、Leon Russellの『Americana』(78年)、Pink Floydの『The Wall』(79年)、The Beach Boysの『L.A. (Light Album)』(79年)などがある。

この『The Riper The Finer』は、The Joe Chemay Bandの唯一のアルバム。Chemay以外のメンバーのBilly Walker(g), John Hobbs/Mike Meros(k), Paul Leim(ds)もセッション・ミュージシャンとして活動しているので、いわばTOTOやMaxusのような "セッション・ミュージシャンによるバンド"。"熟すほど良い" という意味のタイトルのように、それぞれのキャリアで熟練したメンバーが素敵な音を出している。

収録曲は「Proud」と「Love Is A Crazy Feeling」を除いて彼らのオリジナル。シングル・カットされたのはこの2曲で、「Proud」はBillboard Hot 100チャートの68位に到達。「Love Is A Crazy Feeling」はElton Johnのバンドでギターを弾くDavey Johnstone等の作で、Elton Johnと「Don't Go Breaking My Heart」(76年, 米1位)をデュエットしたKiki Deeが、78年のアルバム『Stay With Me』でこの曲を歌っている。

オリジナル曲のうち「One Needs Another」は、Toby Beauの80年のアルバム『If You Believe / 愛のスケッチ』の収録曲をセルフ・カヴァーしたもの。共作者にはDavid Batteauの名前もあり、ポップに弾むメロディがとても爽やか。

日本盤のジャケットはリゾート風のデザインに差し替えられているけれど、オリジナルはシックな緑を背景に、鮮やかな黄色の果物にナイフを入れたデザインで、瑞々しい果汁が今にも滴りそうにフレッシュ。綺麗なピアノのイントロが印象的な1曲目の「Bad Enough」が、このジャケットのようにフレッシュでビターな柑橘系の味わいになっている。

●収録曲
  1. Bad Enough - 3:58
  2. Proud - 3:47
  3. Once In A Life - 4:30
  4. A Fine Line - 3:45
  5. You Saw Me Coming - 3:25
  6. Love Is A Crazy Feeling - 3:43
  7. Holy Thunder - 4:23
  8. One Needs Another - 3:12
  9. Never Gonna Let You Go - 3:40

◆プロデュース: Joe Chemay(vo, b, ag), John Guess

◆参加ミュージシャン: Billy Walker(g), John Hobbs/Mike Meros(k), Paul Leim(ds)
with Louis Conte(per), Maxine Waters/Julia Waters(bv)

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