China / China (夜明けのダンサー) (1982年) – アルバム・レビュー

2023年5月4日

おすすめのアルバムをショート・レビューで紹介する「アルバム・レビュー」。今日は、Chinaの1982年のアルバム『China / 夜明けのダンサー』の紹介です。

China / China (夜明けのダンサー) (1982年) フロント・カヴァー

Chinaはカナダで結成された3人組のグループ。メンバーのChris Kearney(vo), Danny McBride(vo, g), Bill King(vo, k)は新人ではなく、それぞれにリーダー作をもつベテラン・ミュージシャンだ。

この『China / 夜明けのダンサー』はChinaの唯一のアルバム。チャートを賑わしたヒット曲はないけれど、曲の良さ、ハーモニーの美しさ、バック・ミュージシャンの充実、そして "Creative Arranging Consultant" としてJay Graydonが参加していることなどから、AOR好きには人気のあるアルバム。

全曲が彼らのオリジナルで、品の良い、充実した曲が揃っている。また、AOR好きの心をくすぐる魅力が随所にある。

例えば、「Runnin' Around」や「There Was A Time」などで聴こえるふくよかなヴォーカル・ハーモニーはMichael McDonaldのスタイル。最初に聴いたときは、Michael McDonaldがバック・ヴォーカルに参加していると思ったほど。

ひねりのある曲調の「Shootout In The Parking Lot / 駐車場の銃声」にはSteely Danの影響が感じられる。Steely Danに在籍したJeff Baxterが本作に参加しているからかも知れない。実際には、Jeff Baxterは大らかなロック・ナンバーの「Come And Take My Love」のみに参加してギターを弾いている。

また、軽やかで洗練された「Roll Me Over」には、同郷のMarc Jordanの名作『Blue Desert』の雰囲気がある。ぶっきらぼうな感じの歌い方はMarc Jordanのようだし、Danny McBrideによる華やかなギター・ソロはJay Graydon風だ。

曲の良さでは、1曲目の「You Can't Treat Love That Way」が格別。美しく叙情的なメロディと爽やかなハーモニーを聴くと、心が洗われる。この曲は、Sneakerの前年のヒット曲「想い出のスニーカー」と同じ香りがするので、この爽やかさはSneakerをプロデュースしたJeff Baxterの持ち味なのかも知れない。

ちなみに、日本盤ではフロント・カヴァーが差し替えられており、トップの画像がそれ。オリジナルのフロント・カヴァーは下の画像。ジャケット差し替えのベスト・プラクティスに挙げてもいいくらい、日本盤のセンスがいい。

China / China (夜明けのダンサー) (1982年) オリジナル・フロント・カヴァー
●収録曲
  1. You Can't Treat Love That Way - 3:11
  2. Runnin' Around - 4:14
  3. Fast Livin' / 過ぎゆく日々 - 4:04
  4. There Was A Time - 3:37
  5. Shootout In The Parking Lot / 駐車場の銃声 - 4:32
  6. Never Gonna Let You Go - 3:25
  7. Roll Me Over - 3:49
  8. Little Dancer / 夜明けのダンサー - 3:07
  9. Come And Take My Love - 4:12
  10. Days And Nights - 3:14

◆プロデュース: Bob Johnston

◆参加ミュージシャン: Chris Kearney(vo), Danny McBride(vo, g), Bill King(vo, k)
with Lee Ritenour/Albert Lee/Jeff Baxter(g), Abraham Laboriel(b), Andy Newmark/Mike Baird(ds), Paulinho Da Costa(per), Michael Boddicker(sy), Jay Graydon(ar consultant), etc

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