China / China (夜明けのダンサー) (1982年) – アルバム・レビュー
おすすめのアルバムをショート・レビューで紹介する「アルバム・レビュー」。今日は、Chinaの1982年のアルバム『China / 夜明けのダンサー』の紹介です。
Chinaはカナダで結成された3人組のグループ。メンバーのChris Kearney(vo), Danny McBride(vo, g), Bill King(vo, k)は新人ではなく、それぞれにリーダー作をもつベテラン・ミュージシャンだ。
この『China / 夜明けのダンサー』はChinaの唯一のアルバム。チャートを賑わしたヒット曲はないけれど、曲の良さ、ハーモニーの美しさ、バック・ミュージシャンの充実、そして "Creative Arranging Consultant" としてJay Graydonが参加していることなどから、AOR好きには人気のあるアルバム。
全曲が彼らのオリジナルで、品の良い、充実した曲が揃っている。また、AOR好きの心をくすぐる魅力が随所にある。
例えば、「Runnin' Around」や「There Was A Time」などで聴こえるふくよかなヴォーカル・ハーモニーはMichael McDonaldのスタイル。最初に聴いたときは、Michael McDonaldがバック・ヴォーカルに参加していると思ったほど。
ひねりのある曲調の「Shootout In The Parking Lot / 駐車場の銃声」にはSteely Danの影響が感じられる。Steely Danに在籍したJeff Baxterが本作に参加しているからかも知れない。実際には、Jeff Baxterは大らかなロック・ナンバーの「Come And Take My Love」のみに参加してギターを弾いている。
また、軽やかで洗練された「Roll Me Over」には、同郷のMarc Jordanの名作『Blue Desert』の雰囲気がある。ぶっきらぼうな感じの歌い方はMarc Jordanのようだし、Danny McBrideによる華やかなギター・ソロはJay Graydon風だ。
曲の良さでは、1曲目の「You Can't Treat Love That Way」が格別。美しく叙情的なメロディと爽やかなハーモニーを聴くと、心が洗われる。この曲は、Sneakerの前年のヒット曲「想い出のスニーカー」と同じ香りがするので、この爽やかさはSneakerをプロデュースしたJeff Baxterの持ち味なのかも知れない。
ちなみに、日本盤ではフロント・カヴァーが差し替えられており、トップの画像がそれ。オリジナルのフロント・カヴァーは下の画像。ジャケット差し替えのベスト・プラクティスに挙げてもいいくらい、日本盤のセンスがいい。
- ●収録曲
- You Can't Treat Love That Way - 3:11
- Runnin' Around - 4:14
- Fast Livin' / 過ぎゆく日々 - 4:04
- There Was A Time - 3:37
- Shootout In The Parking Lot / 駐車場の銃声 - 4:32
- Never Gonna Let You Go - 3:25
- Roll Me Over - 3:49
- Little Dancer / 夜明けのダンサー - 3:07
- Come And Take My Love - 4:12
- Days And Nights - 3:14
◆プロデュース: Bob Johnston
◆参加ミュージシャン: Chris Kearney(vo), Danny McBride(vo, g), Bill King(vo, k)
with Lee Ritenour/Albert Lee/Jeff Baxter(g), Abraham Laboriel(b), Andy Newmark/Mike Baird(ds), Paulinho Da Costa(per), Michael Boddicker(sy), Jay Graydon(ar consultant), etc
ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません