Michael Franks / Sleeping Gypsy (1977年) – アルバム・レビュー

2019年11月12日

おすすめのアルバムをショート・レビューで紹介する「アルバム・レビュー」。今日は、Michael Franksの1977年のアルバム『Sleeping Gypsy』の紹介です。

Michael Franks / Sleeping Gypsy (1977年) フロント・カヴァー

Michael Franksはカリフォルニア生まれのシンガー・ソングライター。ジャズやボサノヴァの香りがする洒落た楽曲を繊細なウィスパー・ヴォイスで歌うスタイルで、独特のエレガントな世界を築いている。端正な顔立ちと知的な佇まい、スタイリッシュなカヴァー・アートといったビジュアル面でも魅力的なミュージシャンだ。

本作はセカンド・アルバムで、Michael Franksの代表作であると共にジャンルや年代の垣根を越えた名作。

1975年のデビュー・アルバム『The Art Of Tea』に続いて、プロデューサーをTommy LiPuma、エンジニアをAl Schmittが担当し、アレンジについては前作のNick DeCaroに代わってClaus Ogermanが務めた。シンプルだがクールで粋なサウンドに仕上げる彼等の手腕は流石である。

全曲がMichael Franksのオリジナルで、小粋でエレガントなナンバーが並ぶ。個人的には最初の2曲、「The Lady Wants To Know」「I Really Hope It's You」が大のお気に入り。The Crusadersのメンバーをはじめ、David SanbornやMichael Brecker等、ジャズ/フュージョンの名手による演奏も上品で、洗練を極めている。

ボサノヴァ調の曲はスタンダード・ナンバーのように熟した味わいだが、全てオリジナル。この中にブラジルを代表するミュージシャンへのオマージュが2曲あり、「Antonio's Song」はAntonio Carlos Jobimに、「Down In Brazil」はJoao Donato(ジョアン・ドナート)に捧げられた。

「B'wanna - He No Home」と「Down In Brazil」の2曲は実際にリオ・デ・ジャネイロで録音されており、このあたりにブラジルへの憧れや想いが表れている。

このアルバムは、ワーナーの「AOR BEST SELECTION 1300」シリーズから2016年9月に高品質SHM-CDで再発された。なお、Michael Franksの初期の作品をまとめて聴くには、5CDのBOXセット『Michael Franks (Original Album Series)』があり、お薦め。

●収録曲
  1. The Lady Wants To Know / 淑女の想い - 4:45
  2. I Really Hope It's You / イッツ・ユー - 4:54
  3. In The Eye Of The Storm / 嵐の中で - 5:55
  4. B'wanna - He No Home / カレワ・ルスデス - 4:57
  5. Don't Be Blue / ブルーにならないで - 3:28
  6. Antonio's Song (The Rainbow) / アントニオの歌(虹を綴って) <アントニオ・カルロス・ジョビンに捧ぐ> - 5:03
  7. Chain Reaction - 5:14
  8. Down In Brazil / はるかなるブラジルの地 <ジョアン・ドナートに捧ぐ> - 4:33

◆プロデュース: Tommy LiPuma

◆参加ミュージシャン: Larry Carlton(g), Joe Sample(p), Wilton Felder(b), John Guerin(ds), Michael Brecker/David Sanborn(sax), Ray Armando(per), Claus Ogerman(ar), etc

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