FCC / Do You Believe In Magic? (1980年) – アルバム・レビュー
おすすめのアルバムをショート・レビューで紹介する「アルバム・レビュー」。今日は、FCC (Funky Communication Committee)の1980年のアルバム『Do You Believe In Magic?』の紹介です。

FCCは、アラバマ州マッスル・ショールズを拠点に活動したR&B/ブルー・アイド・ソウル系のグループ。Funky Communication Committeeというグループ名が素敵だ。デビュー作は1979年の『Baby I Want You』で、この時のメンバーは5人。本作はそれに続くアルバムで、メンバーは1人増えて6人になっている。
プロデュースを手がけたClayton IveyとTerry Woodfordは、マッスル・ショールズでは名の知れたプロデュース・チーム。Robert Byrneの79年のアルバム『Blame It On The Night / ワン・ナイト・ロマンス』や、R.Byrneが相棒のBrandon Barnesと制作したByrne & Barnes名義の81年のアルバム『An Eye For An Eye / スウィート・リヴェンジ』、Mac McAnallyの83年のアルバム『Nothin' But The Truth / ミニマム・ラヴ』などのマッスル・ショールズ産のAORの名作は、彼らの手によってプロデュースされている。
豊かで大らかなメロディとメロウなグルーヴ、ソウルフルな歌声、そして演奏がこなれていることが、これらのアルバムに共通する良さ。本作もそうしたマッスル・ショールズ産の良さを持っている。
収録曲はオリジナルが8曲、他作が2曲(4, 6)という構成。他作の曲のうち、爽やかな「Where Did You Come From」はWilliam D. Smithの作で、Larry Carltonも78年の名作『Larry Carlton』で取り上げた。もう1曲の「How Do You Like Your Love」はRobert Byrne作のファンキーなナンバーだ。
オリジナル曲の中ではBrandon Barnesと共作した「Don't Hold Back」が良い。Michael McDonaldあたりが歌いそうな洗練されたブルー・アイド・ソウルである。
他にもイントロがThe Doobie Brothersの「Takin' It To The Streets」風の「Give Me A Reason」や、Steely Danの「Home At Last」風の「Falling Out Of Love」、もろにBoz Scaggsの「Lowdown」している「Let The Love On Through」など、AOR的な目線でとても楽しめる。
金澤寿和さんの『AOR Light Mellow』の増補改訂版に紹介されている作品だが、これまでCD化されていなった。この8月に、ソニーの「AOR CITY 1000」シリーズから念願の世界初CD化。待った甲斐がありました。
- ●収録曲
- Give Me A Reason - 4:34
- Do You Believe In Magic - 4:03
- Falling Out Of Love - 3:22
- Where Did You Come From - 3:07
- Jump Into The Fire - 3:50
- How Do You Like Your Love - 4:01
- Changes - 3:53
- Don't Hold Back - 3:48
- More Than A Lover - 4:11
- Let The Love On Through - 3:04
◆プロデュース: Clayton Ivey(k), Terry Woodford
◆参加ミュージシャン: Dennis Clifton/Steve Gooch(vo, g), J.B. Christman(vo, k), Lonnie Ledford(b), Jim Evans(ds, per), Wayne Chaney(vo, per)
with Guy Higginbotham(sax, fl)
ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません