Gregg Rolie / Gregg Rolie (1985年) – アルバム・レビュー

2019年11月12日

おすすめのアルバムをショート・レビューで紹介する「アルバム・レビュー」。今日は、Gregg Rolieの1985年のアルバム『Gregg Rolie』の紹介です。

Gregg Rolie / Gregg Rolie (1985年) フロント・カヴァー

Gregg Rolieは、アメリカの偉大なロック・バンドであるSantanaとJourneyの創設メンバーの一人。Carlos Santana(g)率いるラテン・ロック・バンドのSantanaには1966年の結成から71年末まで在籍し、リード・シンガー兼キーボーディストとして初期の華々しい活動を支えた。Woodstockでの歴史的なライヴ(69年)にもSantanaのメンバーとして参加している。

Santanaを離れたGreggは、同時期にSantanaを抜けたNeal Schon(g)等と73年にロック・バンドのJourneyを結成。そこでもリード・ヴォーカルとキーボードを担当し、80年末までJourneyに在籍した。Santanaは98年に、Journeyは今年2017年にロックの殿堂入りをしており、Greggは2度もその栄誉を受けている。

本作はGregg Rolieの初のソロ・アルバム。Bill Schneeがプロデュースした3曲(1-3)と、Kevin Beamishプロデュースの7曲(4-10)に分かれており、最初の3曲はカヴァー曲で、Greggはヴォーカルのみを担当。残りの殆どはGreggの作/共作によるオリジナル曲で、Greggはヴォーカルとキーボードを担当している。

哀愁漂うミディアム・テンポの「I Wanna Go Back」は87年にEddie Moneyもカヴァーし、Billboard Hot 100チャートの14位となるヒットを記録。Gregg Rolieの歌声には秘めた熱さがあり、哀愁を帯びたメロディや「Black Magic Woman」(Santanaの70年の大ヒット曲)のようなミステリアスな曲にとても合う。

この曲のギタリストはDann Huffだが、本作には旧友のCarlos SantanaとNeal Schonも参加し、リード・ギターを1曲ずつ(8と9)弾いている。また、ドラムスのMark Craneyは、Gino Vannelliの78年の名盤『Brother To Brother』で見事な腕前を披露したドラマーだ。

Gregg Rolieというと、黒のタンクトップ姿で熱く歌う男という印象があるが、バック・カヴァーにはまさにその姿のスナップ・ショットがあり、嬉しくなる。ラストの「Deep Blue Sea」は爽やか過ぎてGreggらしくないが、とてもメロディアスで心地よい曲。翌年のJourneyのアルバム『Raised On Radio』のようなノスタルジックな雰囲気もある。こういう曲が性に合わなくなってJourneyを辞めたのではないかと思うのだが、決して悪くない。Neal Schonと一緒にJourneyにずっと残れば良かったのにと思う。

●収録曲
  1. Young Love - 4:06
  2. Close My Eyes - 4:30
  3. I Wanna Go Back - 3:59
  4. Let Me Out - 3:33
  5. Over And Over - 4:00
  6. Don't Talk - 3:06
  7. Zap Me - 4:02
  8. Marianne - 4:06
  9. It's Only Make Believe - 3:56
  10. Deep Blue Sea - 4:19

◆プロデュース: Bill Schnee, Kevin Beamish(bv)

◆参加ミュージシャン: Gregg Rolie(vo, k), Dann Huff/Mark Ross/Craig Chaquico/Carlos Santana/Neal Schon(g), Peter Wolf(k), Dave Margen(b), Mark Craney(ds), Alan Pasqua(sy), Bruce Miller(horn ar), Matt Schon(string ar), Gene Miller/Jason Scheff/Carmen Grillo/Stan Bush(bv), etc

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