Randy Crawford / Secret Combination (1981年) – アルバム・レビュー
おすすめのアルバムをショート・レビューで紹介する「アルバム・レビュー」。今日は、Randy Crawfordの1981年のアルバム『Secret Combination / 愛の諜報員』の紹介です。
Randy Crawfordはアメリカの女性Jazz/R&Bシンガー。1975年から活動しており、The Crusadersの79年のヒット曲「Street Life」のシンガーに抜擢され、そのしなやかでパンチのある歌声が注目を集めた。本作は彼女の5作目。Tommy LiPuma(プロデュース)、Al Schmitt(エンジニア)、Nick DeCaro(ストリングス・アレンジ)という都会派メロウの名コンビが腕をふるい、カヴァー曲や他作の曲をセンスよく仕立てている。
1曲目の「You Might Need Somebody / とどかぬ想い」は、Turley Richardsの79年のアルバム『Therfu』の収録曲。Tom Snowが曲を書いており、ポップなメロディはTom Snowらしいが、アレンジはSteely Danの曲のようにクール。Turley Richardsの同じアルバムからはもう1曲、軽快なソウル・ナンバーの「When I Lose My Way」もカバーしている。
Tom Snowは「You Bring The Sun Out / 翳りの中で」とタイトル曲の「Secret Combination / 愛の諜報員」も提供。前者はしっとりとした静かなバラードで、Tom Snowの作るメロディの美しさが際立つ。後者はリラックスしたメロウ・チューンだ。
ソウルフルだが都会的な洗練のある「Two Lives」はMarc Jordanの作。Robben Fordの弾くブルージーなギターの渋さが印象に残る。また、Leon Russell作の「Time For Love / 愛の青い鳥」はロマンティックで爽やか。原曲はLeon Russellの74年のアルバム『Stop All That Jazz』に収録されている。
ラストの「Trade Winds / 貿易風」はスケールの大きな曲。Nick DeCaroのアレンジする美しいストリングスに包まれて、Randy Crawfordが雄大に歌う。Rod Stewartも76年の名作『Night On The Town』のラストでこの曲を熱唱した。
アップ・テンポな曲がないのであまり目立たないが、ドラムスは全曲をJeff Porcaroが叩いている。裏方に徹しているがJeff Porcaroらしいリズム感が確かにあって、それに気づくのも小さな幸せ。それにしても、『愛の諜報員』という邦題はちょっとなぁ…
- ●収録曲
- You Might Need Somebody / とどかぬ想い - 4:17
- Rainy Night In Georgia / 雨のジョージア - 4:21
- That's How Heartaches Are Made - 2:55
- Two Lives - 3:47
- You Bring The Sun Out / 翳りの中で - 3:25
- Rio De Janeiro Blue - 4:16
- Secret Combination / 愛の諜報員 - 3:23
- When I Lose My Way - 3:43
- Time For Love / 愛の青い鳥 - 4:15
- Trade Winds / 貿易風 - 4:58
◆プロデュース: Tommy LiPuma
◆参加ミュージシャン: Steve Lukather/Robben Ford/Dean Parks(g), Neil Larsen/Leon Pendervis(k), Abraham Laboriel(b), Jeff Porcaro(ds), Lenny Castro(per), Ernie Watts(sax), Phyllis St. James/Alphie Silas(bv), Nick DeCaro(strings ar), etc
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