Frank Weber / Frank Weber (ニューヨークのストレンジャー) (1980年) – アルバム・レビュー

おすすめのアルバムをショート・レビューで紹介する「アルバム・レビュー」。今日は、Frank Weberの1980年のアルバム『Frank Weber / ニューヨークのストレンジャー』の紹介です。

Frank Weber / Frank Weber (ニューヨークのストレンジャー) (1980年) フロント・カヴァー

Frank Weberはアメリカのシンガー・ソングライター。ピアノを弾きながら自作の曲を歌うスタイルなので、タイプとしては、Billy JoelやElton John、Todd Rundgrenに近い。このアルバムはFrank Weberの2作目で、タイトルに自分の名前を付けた自信作。日本サイドとしてはBilly Joelのイメージで売りたかったのか、『ニューヨークのストレンジャー』という "まんまビリー・ジョエル" な邦題が付いている。

1曲目の「Take It To The Limit」はEaglesの曲のカヴァーだが、アップ・テンポで華やかなナンバーに変身させているので、まったくそれと気づかない。曲の最後に原曲のアレンジに戻しているが、そこで初めて「もしやEaglesのカヴァーだったのか?」と気づく。

2曲目以降はオリジナルの曲になっており、素朴で優しくて、温もりのある1作目『... As The Time Flies』と比べると、クールで都会的なナンバーが多い。

シャッフル・ビートを用いた「The Old Man」は、クールなコード進行やジャジーな展開が何だかSteely Danみたいだし、曲の終盤が「Aja」を思わせる「Who Wrote The Answers / 予言者の言葉」や、「ハイチ式離婚」のようなレゲエのリズムを取り入れた「Just Like Everyone Else」にもSteely Danの影響を感じる。

「Between N.Y. And L.A. / ニューヨークとロスアンジェルス」はMarc Jordanが歌いそうな都会的なナンバー。華やかで洒落ており、Frank Weberの少し鼻にかかった声の感じもMarc Jordanにそっくり。スリリングな演奏は、Frank Weberのバンド・メンバー(Weberを含む6人)によるもの。抜群の一体感があって、聴いていて気持ちいい。

「You Can Come Home To Me」「Reflections Of Myself / 自分の映像」「Only For Tonight」の3曲は、1作目にも通じる穏やかなナンバー。特に、「Only For Tonight」の優しいメロディに聴き入ってしまう。この曲のFrank Weberの歌声はBarry Manilowみたいだ。曲の途中の美声のヴォーカル・ソロはDavid Lasley。繊細なギターはDavid Spinozzaである。

Frank Weberは、このアルバムの30年後にサード・アルバム『Before You』を日本でリリースしている。私はまだ聴いたことがないが、1作目、2作目がとても良い内容なので、CDが再発されたら是非聴いてみたい。

●収録曲
  1. Take It To The Limit - 4:12
  2. The Old Man - 5:06
  3. You Can Come Home To Me - 5:13
  4. Between N.Y. And L.A. / ニューヨークとロスアンジェルス - 5:21
  5. Who Wrote The Answers / 予言者の言葉 - 5:20
  6. Reflections Of Myself / 自分の映像 - 4:29
  7. Just Like Everyone Else - 5:01
  8. Only For Tonight - 3:51
  9. Between N.Y. And L.A. (Reprise) - 1:12

◆プロデュース: Ed Newmark

◆参加ミュージシャン: Frank Weber(vo, k), Harvey Auger(b), Ron Tierno(ds), Tim DeHuff(g), Armen Halburian(per), Frank Elmo(sax)
with David Spinozza/John Tropea(g), Tony Levin(b), David Lasley/Arnold McCuller(bv), etc

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