Tom Scott / Intimate Strangers (1978年) – アルバム・レビュー
おすすめのアルバムをショート・レビューで紹介する「アルバム・レビュー」。今日は、Tom Scottの1978年のアルバム『Intimate Strangers』の紹介です。

Tom ScottはLA生まれのジャズ・サックス奏者。最初のソロ・アルバムを発表したのは1968年で、その後は2年に1枚くらいのペースでアルバムを出している。73年には自身がリーダーを務めるL.A. Expressを結成し、これまでに4枚のアルバムを発表。また、Tom ScottはThe Blues Brothers(78年~)のオリジナル・メンバーであり、彼らの4枚のアルバムに参加している。
本作『Intimate Strangers』は、Tom ScottがSteve Gadd(ds), Richard Tee(k), Eric Gale/Hugh McCracken(g), Ralph MacDonald(per), Gary King(b)といったNYのジャズ・プレイヤーと共演したアルバム。録音はLAで行われており、TOTOからDavid Paich(k)とSteve Porcaro(sy)が参加。また、3-1「Lost Inside The Love Of You (Reprise)」では、Jaco Pastoriusがベースを弾いている。
アルバムの前半は拍手とMCで始まる組曲になっており、Part1からPart3に分かれている。後半はポップでファンキーな4曲を収録。ほとんどの曲はTom Scottの作だが、「You're So Good To Me」についてはRichard Tee、ラストの「Beautiful Music」はRalph MacDonaldとWilliam Salter等の作だ。
前半の組曲は、ジャズ、ファンク、ポップといった要素を巧みにアレンジして3パート、全7曲からなる組曲にまとめたもの。幻想的な1-2「Lost Inside The Love Of You」や、それをJaco Pastoriusのベースで聴く3-1「Lost Inside The Love Of You (Reprise)」、Tom Scottの歌声を聴くことのできる「Do You Feel Me Now」など、聴きどころが多い。組曲の始まりと終わりには拍手とMCを入れてライヴ録音のように仕上げているが、実際はスタジオ録音である。
後半の4曲の中では、「Breezin' Easy」が好み。タイトルのように、穏やかなそよ風を感じながら寛いでいる気分になれる曲。リラックスした曲調だけど、Gaddのドラムスだけは終始堅実にリズムを刻んでおり、聴いていると落ち着く。
このアルバムは、2017年夏の「AOR CITY 1000」シリーズの1枚に選ばれている。TOTOのDavid PaichとSteve Porcaroの2人が参加したからだろうか。ロック好きやAOR好きへのおすすめという点では、Jeff PorcaroのドラムスとCarlos Riosのギターを全面的にフィーチャした翌年のアルバム『Street Beat』もある。
- ●収録曲
- Intimate Strangers (Suite): Part 1 - Sudden Attraction
- Hi Steppers - 3:52
- Lost Inside The Love Of You - 5:03
- Part 2 - A Day & Nite Out Together
- Getaway Day - 4:06
- Nite Creatures - 3:56
- Part 3 - Loving & Leaving
- Lost Inside The Love Of You (Reprise) - 2:54
- Do You Feel Me Now - 4:14
- Hi Steppers (Reprise) - 1:23
- Breezin' Easy - 6:03
- You're So Good To Me - 4:26
- Puttin' The Bite On You - 5:26
- Beautiful Music - 4:28
◆プロデュース: Hank Cicalo, Tom Scott(sax)
◆参加ミュージシャン: Eric Gale/Hugh McCracken(g), Richard Tee/David Paich(k), Steve Porcaro(sy), Gary King/Jaco Pastorius(b), Steve Gadd(ds), Ralph MacDonald(per), etc
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