Donny Gerrard / Donny Gerrard (1976年) – アルバム・レビュー

おすすめのアルバムをショート・レビューで紹介する「アルバム・レビュー」。今日は、Donny Gerrardの1976年のアルバム『Donny Gerrard』の紹介です。

Donny Gerrard / Donny Gerrard (1976年) フロント・カヴァー

Donny Gerradはカナダ出身のソウル・シンガー。Skylarkというカナダのバンドでリード・ヴォーカルを担当した後にセッション・シンガーとなり、様々なアルバムにバック・ヴォーカルなどで参加している。ソロ・アルバムは76年と2000年にあり、この『Donny Gerrard』は1作目。

Skylarkには若い頃のDavid Fosterも在籍していた。72年のファースト・アルバム『Skylark』からは、哀愁漂うバラードの「Wildflower」が全米9位になるヒットを記録。David Fosterとはその後も縁があり、Fosterが音楽を手がけた85年の映画『St. Elmo's Fire』のサウンドトラックでは、テーマ曲に歌詞を付けた「For Just a Moment」をAmy Hollandとデュエットしている。

この『Donny Gerrard』のプロデュースを担当したのはHenry MarxとRobbie Buchanan。Henry Marxは発売元レーベルのエグゼクティヴで、アルバム・デビュー前のBobby Caldwellのマネジメントも手がけている。一方のRobbie Buchananは、後にMaxusを結成するキーボード奏者で、本作ではアレンジも担当。このアルバムが初めてアレンジを手がけた作品になるらしい。

カヴァー曲と書き下ろしが半々ぐらいの割合で、カヴァー曲では、Sharon Ridleyの71年のアルバム『Stay A While With Me』のタイトル曲(Van McCoy作)、Margie Josephの75年のアルバム『Margie』の収録曲の「Words」、The Beatlesの名曲「The Long And Winding Road」(70年)、The Impressionsの65年のアルバム『People Get Ready』から「You Must Believe Me」(Curtis Mayfield作)などを歌っている。

書き下ろしには、Henry Marxの「Stand Up」や「Greedy For Your Love」、Bobby Caldwell等の書いた「Peace For Us All」などがある。「Peace For Us All」はディスコ調の軽快なナンバーで、Bobbyの名曲「風のシルエット」のようなロマンティックな曲を期待すると、当てが外れる。

あまり目立たないが、ほぼ全曲でギターを弾いているのはJay Graydon。ベースはWilton Felder、ドラムスはMike BairdにEd Greeneと、いずれも実力派だ。

本作のベスト・トラックは、1曲目の「He's Always Somewhere Around」だろう。軽快なグルーヴと美しいストリングスに、Donnyの優しい歌声が映える気持ちのいいソウル・ナンバー。ジャケットの落ち着いた眼差しが若い頃のモーガン・フリーマンみたいで素敵です。

●収録曲
  1. He's Always Somewhere Around - 3:14
  2. Stay Awhile With Me - 4:28
  3. Words (Are Impossible) - 3:09
  4. Stand Up (And Show Your Love) - 3:13
  5. The Long And Winding Road - 3:13
  6. Greedy For Your Love - 3:18
  7. Peace For Us All - 2:45
  8. You Must Believe Me - 3:15
  9. As Far As We Can Go - 3:55

◆プロデュース: Henry Marx, Robbie Buchanan(ar, k)

◆参加ミュージシャン: Jay Graydon(g), Wilton Felder(b), Mike Baird/Ed Greene(ds), Kathy Collier/Venetta Fields/Carmen Twille(bv), Steve Madaio(horn)

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