Vapour Trails / Vapour Trails (1979年) – アルバム・レビュー

2019年11月22日

おすすめのアルバムをショート・レビューで紹介する「アルバム・レビュー」。今日は、Vapour Trailsの1979年のアルバム『Vapour Trails』の紹介です。

Vapour Trails / Vapour Trails (1979年) フロント・カヴァー

Vapour Trailsはイギリスでセッション・ミュージシャンとして活動するJohn McBurnie(vo, g), Andy Dalby(g), Phil Curtis(b)の3人が結成したグループ。本作は彼らの唯一のアルバムである。

イギリスのグループでありながらプロデュースをLarry Carltonが担当し、LAの豪華ミュージシャンが参加した異色作。Larry Carltonが歌モノをプロデュースするのはこれが初めてらしい。

全曲が彼らのオリジナルで、ヴォーカルのJohn McBurnieがメンバーとの共作も含めて12曲中の11曲を担当。カラッと乾いた開放的なサウンドだが、英国ポップスらしい折り目正しさや気品が感じられる。イギリス人によるウェスト・コースト・サウンドという風合いの、魅力的なバランスのアルバムだ。

このアルバムには、80年代を代表する洋楽番組である『ベストヒットUSA』(パーソナリティ:小林克也氏)のテーマ・ソングになった「Don't Worry Baby / サーフサイド・フリーウェイ」が収録されている。海沿いのドライヴが目に浮かぶような爽快な曲で、「サーフサイド・フリーウェイ」という邦題はぴったりだ。

「ベストヒットUSA」は1981年4月に放送が開始された。MTVの放送開始がその年の8月なので、時代を4ヶ月先取りしている。放送終了が89年9月ということで、まさに80年代と共に歩んだ洋楽番組だ。そのテーマ・ソングに、どちらかと言えばマイナーな本作からベスト・マッチな曲が選ばれたことが素晴らしい。

番組は2003年4月に復活して今も続き、「Don't Worry Baby」は不動のテーマ・ソング。毎週欠かさずに観るが、冒頭でこの曲が流れるたびに、これ以外の曲はないと確かに思えるのである。

●収録曲
  1. Do The Bossa Nova - 3:04
  2. Don't Worry Baby / サーフサイド・フリーウェイ - 3:45
  3. Night People - 3:30
  4. True Love - 3:44
  5. It's All Right - 3:11
  6. Slow Dancing - 3:19
  7. Modern Love - 2:51
  8. Non Merci - 3:10
  9. Hold On To Something Good - 3:06
  10. Strange Conversations - 3:31
  11. Throw Down The Dice - 3:35
  12. Falling - 2:46

◆プロデュース: Larry Carlton, Vapour Trails

◆参加ミュージシャン: John McBurnie(vo, g), Andy Dalby(g), Phil Curtis(b)

with Michael Omartian/David Benoit/Brian Chatton(k), John Ferraro/Steve Holly(ds), Tom Scott/Mel Collins(sax), Bill Champlin(bv), etc

ところで、この番組のオープニングでは、「サーフ・サイド・フリーウェイ」に合わせて洋楽のアルバム・ジャケットが次から次へと流れていく映像が使われている。80年代の番組の冒頭はこんな感じ。

それぞれのジャケットは一瞬しか見えないので判別が難しいが、一つ一つ知りたいと長らく思っていた。80年代と今ではこの映像で使わるジャケットも異なっているが、80年代の映像に関しては、『音楽生活 2001 Vol.5』(バーン・コーポレーション発行)の特集記事『ベストヒットUSA オープニング・ジャケット・コレクション』に詳細な情報があることが判明。嬉しくなり、全115タイトルをこちらのサイトに一覧したので、ベストヒットUSA好き、洋楽アルバムのジャケット好きは是非ご覧ください。

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