The Doobie Brothers / Takin’ It To The Streets (1976年) – アルバム・レビュー

2019年11月12日

おすすめのアルバムをショート・レビューで紹介する「アルバム・レビュー」。今日は、The Doobie Brothersの1976年のアルバム『Takin' It To The Streets / ドゥービー・ストリート』の紹介です。

The Doobie Brothers / Takin' It To The Streets (1976年) フロント・カヴァー

The Doobie Brothersはカリフォルニアのサンノゼで1969年に結成されたロック・バンド。爽快なウェストコースト・ロックを持ち味としていたが、中核のTom Johnston(g)がバンドを離れて、Steely DanからJeff Baxter(g)とMichael McDonald(k, vo)が相次いで加入すると、洗練されたブルー・アイド・ソウルを聴かせるバンドへと成熟していった。

この『Takin' It To The Streets』は6作目。Michael McDonaldがキーボード兼ヴォーカル担当として加入した最初のアルバムであり、爽快なウェストコースト・ロックと都会的なブルー・アイド・ソウルという、バンドの新旧2つの魅力がうまくバランスした作品になっている。

「Takin' It To The Streets」「Losin' End」「It Keeps You Runnin'」の3曲はMichael McDonaldの作。他のメンバーと共作した「Carry Me Away」でも、Michaelがリード・ヴォーカルを取っている。これらの曲では、キュートで華やかなメロディをMichael McDonaldがソウルフルに歌う。"魅惑のスモーキー・ヴォイス" などと言われるそのソフトな声は、聴いた瞬間にふっと安らぐように心地いい。

「Takin' It to the Streets」はファースト・シングルとなり、Billboard Hot 100チャートの13位を記録。「It Keeps You Running」も37位をマークした。「It Keeps You Running」は、Carly Simonの同年のアルバム『Another Passenger』でカヴァーされたほか、94年の映画『フォレスト・ガンプ』の挿入歌になっている。

残りの曲は、バンドのまとめ役であるPatrick Simmonsが3曲(1, 3, 5)、Tiran Porterが1曲(6)、Tom Johnstonが1曲(8)を担当。Tom Johnston作の「Turn It Loose」は存在感のある豪快なロック・ナンバー。Tiran Porter作の「For Someone Special」も、深い哀愁を漂わす渋い曲だ。

ジャケットのサングラスは、創設メンバーの一人であるPatrick Simmons。本作以降、Michael McDonaldと強力なタッグを組み、グラミー4部門を受賞した『Minute by Minute』(78年)などの名作を次々と発表する。The Doobie Brothersは今も活動しているが、活動期間のすべてに在籍している唯一のメンバーはPatrick Simmonsである。

●収録曲
  1. Wheels Of Fortune / 運命の轍 - 4:54
  2. Takin' It To The Streets / ドゥービー・ストリート - 3:56
  3. 8th Avenue Shuffle / 8番街のシャッフル - 4:39
  4. Losin' End - 3:39
  5. Rio - 3:49
  6. For Someone Special - 5:04
  7. It Keeps You Runnin' - 4:20
  8. Turn It Loose - 3:53
  9. Carry Me Away - 4:09

◆プロデュース: Ted Templeman

◆参加ミュージシャン: Patrick Simmons(g, vo), Michael McDonald(k, vo), Tom Johnston(g, vo), Jeff Baxter(g), Tiran Porter(b, vo), John Hartman(ds), Keith Knudsen(ds, vo)
with Maria Muldaur(vo), Jesse Butler(k), Richie Heyward(ds), Bobby LaKind(per), Novi(viola), The Memphis Horns

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