Brian Elliot / Brian Elliot (君と一緒に) (1978年) – アルバム・レビュー
おすすめのアルバムをショート・レビューで紹介する「アルバム・レビュー」。今日は、Brian Elliotの1978年のアルバム『Brian Elliot / 君と一緒に』の紹介です。
Brian Elliotは、Madonnaの1986年の大ヒット曲「Papa Don't Preach」(全米1位)を書いたソングライター。といっても、売れっ子のヒット・メイカーではなく、この曲以外でクレジットに名前を目にするのは、Pointer Sistersの『Break Out』(83年)や、Christina Vierraの『Christina Vierra』(88年)、Chris Isaakの『San Francisco Days』(93年)など、数えるほどのアルバムしかない。ひっそりした存在なので、"マドンナのヒット曲の作者" であるのが意外に思える。
この『君と一緒に』は、Brian Elliotの唯一のアルバムで、"知る人ぞ知る" という感じのAORの名作。60年代にThe Lovin' Spoonfulを、80年代以降はChris Isaakの一連のアルバムを手がけたErik Jacobsen(ヤコブセン)がプロデュースを担当している。
曲は全てBrianの自作で、ロックン・ロールやR&Bをベースにしたシティ・ポップ、シティ・ソウルになっている。Boz Scaggsの『Silk Degrees』風の高揚感のある「Let's Just Live Together」や、Wilton Felderと思しきファンキーなベース・ラインが印象的な「Summer Nights In Hollywood」、どっしりとした重量感がありながらバネの効いたリズムが心地いい「Queen Of Clowns」など、最初から素敵な曲ばかり。
参加ミュージシャンが豪華で、演奏も素晴らしい。主だったところでは、Larry Carlton/Lee Ritenour/Jay Graydon(g)、David Hungate/Wilton Felder(b)、Jeff Porcaro/Mike Baird/James Gadson(ds)、Valerie Carter/The Waters(bv)、Seawind Hornsなど、錚々たる顔ぶれがサポートしている。
ポップで親しみやすいメロディは、派手さはないけれど、いい味を出している。「Tickets To Rio」の柔らかいストリングスや、「The First Time」の "シャラララ" の甘く懐かしい雰囲気もいい。Brianの歌声は、どこかPaul Simon似。少し心細い印象だけれど、スウィート & ジェントルな曲の雰囲気に合っている。
アルバム・カヴァーの凛々しいモノクロ写真は、写真家でありフォーク・ミュージシャンでもあるHenry Diltzが撮ったもの。DiltzのWebギャラリーにある、大物ロック・ミュージシャンたちの個性強めの写真と比べると、とても普通の人に撮れている。
- ●収録曲
- Let's Just Live Together - 3:43
- Summer Nights In Hollywood - 3:07
- Queen Of Clowns (One For Lily T.) - 3:55
- Room To Grow - 3:25
- Tickets To Rio / リオへの誘い - 2:46
- The First Time - 2:50
- Seventeen Goin' On Twenty-One - 2:35
- Old Nueva Laredo - 3:45
- Last Vegas Wedding - 3:02
- One Last Night Together - 3:44
◆プロデュース: Erik Jacobsen, Brian Elliot(vo, k, ar)
◆参加ミュージシャン: Larry Carlton/Lee Ritenour/Jay Graydon/Fred Tackett/Steve Beckmeier(g), David Hungate/Wilton Felder/Bob Gloub(b), Jeff Porcaro/Mike Baird/James Gadson(ds), Victor Feldman(vib), Valerie Carter/The Waters/The Jones Sisters(bv), Seawind Horns, etc
ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません