Carly Simon / Boys In The Trees (1978年) – アルバム・レビュー
おすすめのアルバムをショート・レビューで紹介する「アルバム・レビュー」。今日は、Carly Simonの1978年のアルバム『Boys In The Trees / 男の子のように』の紹介です。
Carly Simonはニューヨーク生まれの女性シンガー・ソングライター。音楽活動のスタートは1964年で、2つ年上の姉のLucyとThe Simon Sistersというフォーク・デュオを組み、60年代に3枚のアルバムを残している。70年代以降はソロのアーティストとして活動し、これまでに多くのヒット・アルバムとヒット曲を残した。本作は、Carly Simonの7枚目のスタジオ・アルバム。
収録された11曲は、夫であるJames Taylor作の「One Man Woman」とThe Everly Brothersのカヴァー「Devoted To You / 愛をいつまでも」を除いて、彼女のオリジナル(共作も含む)。James Taylorとは72年に結婚しており、74年に娘のSallyを、前年に息子のBenを授かった。
1曲目の「You Belong to Me」はMichael McDonaldとの共作。ソウルフルでメロウなこの曲はファースト・シングルとなり、Billboard Hot 100チャートの6位を記録。彼女の5曲目のTop 10ヒットとなった。本作に先駆けて、The Doobie Brothersの前年のアルバム『Livin' on the Fault Line / 運命の掟』に収録され、そこではMichael McDonaldが歌っている。
「愛をいつまでも」は、The Everly Brothersの58年のヒット曲(全米10位)のカバー。夫のJames Taylorとデュエットしており、仲睦まじい。本作からのセカンド・シングルとなり、チャートの36位をマークした。
James Taylorはブルージーなロック・チューンの「One Man Woman」も提供。また、「Tranquillo (Melt My Heart) / 燃えるハート」をCarly Simonと共作している。
タイトル曲「Boys In The Trees」は感動の一曲。Carly Simonが落ち着いた声で "Boys grew in the trees ..." と歌う静かなナンバーで、透明度の高いアコースティックなアレンジが美しい。彼女の歌声には成熟した女性の包容力があり、子守唄を聴いているように癒される。
バック・ミュージシャンにはStuffのメンバーに加えて、David SanbornやMichael Brecker等、ジャズ/フュージョンの名手を揃えており、演奏には貫禄とゆとりがある。
Carly Simonは私の大好きなミュージシャンで、女性として憧れているといっても良い。どの歌も、どのアルバム・ジャケットの彼女も素敵だ。その美貌はもちろんのこと、包容力、たくましさとしなやかさ、時折見せる可愛らしさの全てが魅力。なお、このアルバムのフロント・カヴァーは、79年のグラミー賞において "Best Album Package" を受賞した。
- ●収録曲
- You Belong To Me - 3:52
- Boys In The Trees / 男の子のように - 3:13
- Back Down To Earth / 幸福はどこへ - 3:08
- Devoted To You / 愛をいつまでも - 2:29
- De Bat (Fly In Me Face) / 気まぐれコウモリ - 2:28
- Haunting / 愛のとりこ - 2:28
- Tranquillo (Melt My Heart) / 燃えるハート - 4:02
- You're The One / あなただけ - 3:38
- In A Small Moment - 3:08
- One Man Woman - 3:39
- For Old Times Sake / 想い出を抱きしめて - 3:41
◆プロデュース: Arif Mardin
◆参加ミュージシャン: Carly Simon(vo, ag), James Taylor(ag, bv), John Hall/Hamish Stuart(g, bv), Cornell Dupree/Eric Gale/Jeff Mironov/Hugh McCracken(g), Richard Tee/Don Grolnick(k), Will Lee/Tony Levin/Gordon Edwards(b), Steve Gadd(ds), David Sanborn/Michael Brecker(sax), Luther Vandross/Cissy Houston(bv), etc
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