Russ Taff / Walls Of Glass (1983年) – アルバム・レビュー
おすすめのアルバムをショート・レビューで紹介する「アルバム・レビュー」。今日は、Russ Taffの1983年のアルバム『Walls Of Glass』の紹介です。
Russ Taffは、CCMの男性コーラス・グループであるImperialsの元メンバー。1976年から81年までグループに在籍し、リード・ヴォーカルを担当した。Imperialsは64年から活動を続けるCCM界の大御所グループだが、Russ Taffが在籍した時期にグラミー賞の "Best Gospel Performance, Contemporary or Inspirational" を3度も受賞するなど、もっとも華々しい活動成果を残している。
本作はImperialsを抜けてソロとなったRuss Taffの最初のソロ・アルバム。プロデューサーとエンジニアをSteely DanやBoz Scaggsなどのアルバムを手がけたBill Schneeが担当しており、整った上品なサウンドになっている。
収録された10曲は、自作が8曲、カヴァーが2曲(6, 9)という構成で、Russ Taffは奥様のTori Taffと自作曲の作詞を担当。作曲に関しては、親友のJames Hollihanが5曲(1, 3, 5, 7, 8)を担当したほか、Keith Thomas(2)、Robbie Buchanan(4)、James Newton Howard(7)等がサポート。カヴァー曲のうち、「Jeremiah」は、Michael Omartianの74年のアルバム『White Horse』の収録曲である。
曲は粒ぞろいで、硬派なロックの「Tell Them」「Walls Of Glass」から、ロマンティックなバラードの「I Want To Change」、ゴスペル調の「We Will Stand」などを揃え、バランスがいい。「Tell Them」はタイト&クールなナンバーで、Robbie Buchananの流麗なキーボードにMichael Landauのエモーショナルなギターが絡むサウンドは、まるでMaxus。とてもカッコいい。
「I Want To Change」は、Paul Davisの「Cool Night」を格調高くしたようなロマンティックなバラードで、Ernie Wattsの哀愁のサックス・ソロや、情感を湛えたRuss Taffの歌が素晴らしい。Russ Taffのヴォーカルは、美声というよりは野性味溢れるタイプで、骨太な歌いっぷりが魅力。ピアノの美しい伴奏で独唱する「Kathryn's Song」にも引き込まれる。
一風変ったリズムの「Jeremiah」はOmartian夫妻の作。ドラムスはJeff Porcaroで、Jeffはこの曲のほかに、2, 7, 8の3曲でもグルーヴ感抜群のドラムスを叩いている。特に、「Walls Of Glass」と「Inside Look」はJeffにしか出せないグルーヴ感。
CDの入手は難しいが、デジタル・コンテンツ(MP3形式)ならば入手可能。CCMのアルバムには、割とそうしたものが多いので、CDが見当たらないときには重宝する。
- ●収録曲
- Tell Them - 4:23
- Walls Of Glass - 3:57
- I Want To Change - 5:05
- Pure In Heart - 3:59
- We Will Stand (You're My Brother, You're My Sister) - 4:37
- Jeremiah - 4:02
- Inside Look - 4:01
- Just Believe - 4:26
- Kathryn's Song - 4:24
- Unto The Lamb - 2:42
◆プロデュース: Bill Schnee
◆参加ミュージシャン: Michael Landau/Marty Walsh(g), Michael Omartian/Robbie Buchanan/James Newton Howard(k), Abraham Laboriel/Nathan East(b), Jeff Porcaro/Mike Baird(ds), Lenny Castro(per), Ernie Watts(sax), Jerry Hey(tp), Bill Champlin/Tamara Champlin/Bonnie Bramlett/David Lasley/Arnold McCuller/Frankie Previte(bv), etc
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