Livingston Taylor / 3-Way Mirror (三面鏡) (1978年) – アルバム・レビュー
おすすめのアルバムをショート・レビューで紹介する「アルバム・レビュー」。今日は、Livingston Taylorの1978年のアルバム『3-Way Mirror / 三面鏡』の紹介です。
Livingston Taylorは、James Taylorの弟。兄と同様にシンガー・ソングライターであり、1970年のアルバム・デビューから現在に至るまで、兄とほぼ同じペースでアルバム制作を続けている。Taylor兄弟はAlex, James, Livingston, Kate, Hughの5人で、Livingstonは三男。全員がミュージシャンである。
Livingstonが兄のJamesと似ているのは、アルバム制作のペースだけではない。アコースティックな響きのある穏やかな曲調や歌声、歌い方も兄と似ている。特に歌声に関しては、兄と区別が付かないほど。従って、彼のアルバムはJamesのアルバムのように聴けてしまう。
本作『3-Way Mirror / 三面鏡』は、Livingston Taylorの4枚目のスタジオ・アルバム。プロデュースをNick DeCaroが担当しており、美しいストリングスを用いたメロウなアレンジで仕上げている。
収録曲は「Southern Kids」を除いてLivingstonのオリジナル。「Gonna Have A Good Time」やMaria Muldaurとデュエットした「No Thank You Skycap」のようなカントリー・ミュージックもあるが、全体としてはシンガー・ソングライターらしい穏やかでリラックスした曲が揃っている。なお「Southern Kids」はScott Boyerの作で、長男Alexの71年のアルバム『With Friends And Neighbors』の収録曲だ。
1曲目の「Going Round One More Time」は、兄のJamesも85年のアルバム『That's Why I'm Here』でカヴァーした。波長が合い、歌いやすいのだろう。
ほっこりする素朴なメロディの「I Will Be In Love With You」はシングル・カットされ、Billboard Pop Singlesチャートの30位を記録。Livingston Taylorの一番のヒット曲となった。
「Train Off The Track」は美しい曲だ。しっとりとして程よく切ないメロディは、梅雨どきの静かな雨降りの日に似合いそう。
「Living Without You」や「How Much Your Sweet Love Means To Me」も同じタイプの曲で、メロディの優しさに癒される。「How Much Your Sweet Love ...」では、間奏のさり気ない口笛がとても爽やかだ。
内省的で繊細なイメージの兄に対して、Livingstonの作る曲は穏やかで温かい。この屈折したところのない感じがともすると凡庸な印象を与え、大きなヒットに恵まれなかったのかも知れない。
- ●収録曲
- Going Round One More Time - 2:50
- L.A. Serenade - 2:59
- Gonna Have A Good Good Time - 2:23
- Train Off The Track - 3:35
- I Will Be In Love With You - 3:31
- No Thank You Skycap - 2:55
- I'll Come Running - 3:22
- Living Without You - 4:20
- Southern Kids - 3:02
- How Much Your Sweet Love Mean To Me - 2:36
◆プロデュース: Nick DeCaro(accordion, bv, string ar)
◆参加ミュージシャン: Jai Winding(k, ar), Lee Ritenour/Brian Ray/Dan Dugmore(g), Fred Tackett(ag, mandolin), David Hungate/Scott Edwards(b), Ed Greene/Jim Keltner/Mike Baird(ds), Steve Forman(per), Jerry Hey(tr), Maria Muldaur(bv), Tom Saviano(ar), etc
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