Nohelani Cypriano / In The Evening (1982年) – アルバム・レビュー

おすすめのアルバムをショート・レビューで紹介する「アルバム・レビュー」。今日は、Nohelani Cyprianoの1982年のアルバム『In The Evening』の紹介です。

Nohelani Cypriano / In The Evening (1982年) フロント・カヴァー

Nohelani Cypriano(ノヘラニ・シプリアーノ)は、ハワイ生まれのミュージシャン。Golden Throatというグループでリード・ヴォーカルとピアノを担当した後にソロ活動を始め、1979年にソロ1作目の『Nohelani』を、82年に2作目となるこの『In The Evening』を発表している。

現在の彼女は Nohelani Cypriano Productions のオーナーをしていて、サイトに記載されたプロフィールによると、これまでに発表したアルバムは12枚。

1作目の『Noherlani』は、ハワイの音楽賞である "Na Hoku Hanohano Award"(ナ・ホク・ハノハノ・アワード)において、"Contemporary Album of the Year" と "Best Female Vocalist" を受賞しており、この『In The Evening』は2度目の "Contemporary Album of the Year" を83年に受賞している。

プロデュースとキーボードを担当したDennis Graue(グローイ)は彼女の夫で、Dennisとの結婚と出産を経て、このアルバムは発表されたようだ。夫のDennisもGolden Throatのメンバーであり、その頃から彼女の作曲パートナーを務めている。

それでは、このアルバムから4曲を紹介。まずは、日本のクラブ・シーンで人気になったダンサブルな2曲、「Give Love A Try」と「U」を。

「Give Love A Try」は山下達郎の「Sparkle」に近い高揚感とリズム感のある爽快な曲で、Nohelani Cyprianoのキュートな歌声が爽やかに映える。この曲はバック・ヴォーカルで参加したMike Lundy(ランディ)との共作だ。Mike Lundyも80年にソロ・アルバム『The Rhythm Of Life』を残していて、日本では2003年にCool Soundの "Cool Hawaii" から世界初CD化されている。

「U」のイントロは印象的。Nohelaniのコケティッシュなチャックル(クスッと笑う)に始まり、すぐに鳥たちのさえずりへと変化する。ファンキー & メロウな明るいリズムは確かにクラブ受けしそうだ。この曲は、Nohelani - 夫のDennis - S.Chingによる共作で、タイトル曲の「In The Evening」をA面、この曲をB面とする7インチ・シングルが82年に発表されている。

アルバム・タイトルになった「In The Evening」は、メロウなAORバラード。甘いメロディとふんわりした質感のサウンド、Nohelaniの澄み切った美声を聴いていると、Olivia Newton-John & Cliff Richardの80年のデュエット曲「Suddenly」を思い出してしまう。個人的には。

4曲目の「My Island」は曲調の変化を楽しめるナンバー。鳥たちのさえずりの中の幻想的な歌い出しから少しずつ歌声とサウンドに色が差していき、中盤のロッキッシュなギター・ソロへと展開。そこからシームレスに「What A Fool Believes」のようなMichael McDonald節になり、爽やかにフェードアウトしていく。

このアルバムのCDは、2002年に日本のCool Soundから紙ジャケット仕様で世界初CD化され、ボーナス・トラックとしてDanny Couchとのデュエット曲「A Song Of Love」も収録された。それから20年近く経った今年(2020年)、国内盤のCDが9月23日に再発される予定になっている。気になる方は要チェック。

●収録曲
  1. Bali Hai
  2. In The Evening
  3. Give Love A Try
  4. My Island
  5. Playin' With Fire
  6. Remember
  7. U
  8. Lil' Rich Girl
  9. Time
  10. A Song Of Love (Bonus Track)

◆プロデュース: Dennis Graue(k, bv)

◆参加ミュージシャン: Nohelani Cypriano(vo, k, bv), Danny Couch(vo), Eddie Pascua(g), Jerry Rousch(b), Wendell Ching(ds), Richard Kashanski/Master Henry Gibson(per), Michael Baker(horns), Asure McCall/Mary Lake/Mike Lundy(bv), etc

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