おすすめのCDボックス・セット（プラケース型）

2019年10月1日

ロック、ソウル、ジャズなど、さまざまなジャンルのCDボックス・セットが相次いで発売されています。レコード・ジャケットを模した紙ジャケットにCDを収めているものが多く、コンパクトなパッケージでありながらCDの収納枚数が多いことが特徴。その結果、CD1枚あたりに換算すると数百円～1,000円未満のものが多く、アルバムを個別に収集するよりも手間、コスト、収納スペースの面でお得感があります。

そればかりでなく、未発表音源やボーナス・トラックが収録されていたり、入手困難で高値になっていたレア盤が含まれていたり、デジタル・リマスタリングされていたりと、内容、希少性、音質面でも魅力的。

解説や歌詞が付属しないセットもありますが、一方で豪華なブックレットが付属するセットもあります。

そうした魅力的なCDボックス・セットのうち、このページでは、プラスティック・ケース型（プラケース型）のCDボックス・セットを紹介します。

プラスティック・ケース型のCDセット

ここで紹介するのは、2CD以上の収納用に設計された厚さ2cmちょっとのプラスティック・ケース型のCDセットです。見た目はボックス・セットではなく、厚めのプラケースになりますが、最大で6CDまで収納可能なので、省スペース・多収納、コスパの良さなど、通常のCDボックス・セットと同じ長所を備えています。

UFO、Michael Schenker Gruop、Saxon、Y&Tなど、ハード・ロック系のアーティストのCDセットが多いことも特徴の一つ。例えば、次のようなセットが発売されています。

主だったものについて、パッケージ内容を紹介しましょう。

Brand X / Nuclear Burn: The Charisma Albums 1976-1980

英国のJazz Rockバンド「Brand X」の1976年のデビュー作『Unorthodox Behaviour』から80年の『Do They Hurt?』までのスタジオ・アルバムと、77年のライヴ・アルバム『Livestock』の計6作品に加え、76年のBBC Sessionから4曲を収録した4CDのBOXセットです。2014年11月に発売されました。

Brand Xはハイ・レベルな演奏集団。プログレッシヴ・ロック・バンドのGenesisのドラマーであり、ソロ活動でも80年代に多くのヒット曲、ヒット・アルバムを発表したPhil Collinsが在籍したことでも知られています。結成時のメンバーは、John Goodsall(g)、Percy Jones(b)、Robin Lumley(key)、Phil Collins(ds)の4名。

CDはデジタル・リマスタリングされており、詳細な英語解説のついたブックレットが付属し、価格は2,500円程度です。(*)執筆時のアマゾンでの価格

Jazz RockのBOXセットは珍しく、しかもBrand Xという通好みのバンドのものとして貴重です。

Gentle Giant / I Lost My Head – the Chrysalis Years (1975 to 1980)

英国のプログレッシヴ・ロック・バンド、Gentle GiantのCDセットです。Gentle Giantは英国プログレ界において、最も技巧的なバンドの一つと言われています。活動期間は1970年から80年で、この間にライヴ・アルバムを含む12枚のアルバムを残しています。

このCDセットは、後半5年間の6枚のアルバムを4CDに収録したもの。ボーナス・トラックも8曲を収録し、詳細な解説のついたブックレットも充実しています。

メルヘンチックなジャケットからは想像できない、テクニカルで重厚なサウンド。複雑な変拍子を完璧なアンサンブルとコーラス・ワークで決める凄いバンドです。

Michael Schenker Group / Chrysalis Years 1980-1984

Michael Schenker Group（MSG）がChrysalisレコードに残した6作品に加え、デビュー直後の未発表ライヴ『Live At The Manchester Apollo』（80年）やボーナス・トラック6曲、豪華ブックレットを収めた5CDのBOXセットです。デジタル・リマスタリングも施されていて、初期のMSGの作品を揃えるのに最適なBOXセットです。

初期のMSGはアルバムによってメンバーが変わっており、それによる作風やサウンドの変化を賞味するのが一つの楽しみ方です。アルバムにより、ヴォーカルはGary Barden, Graham Bonnetが、ドラムスはSimon Phillips, Cozy Powell, Ted McKennaが担当しますが、メンバーが変わってもクオリティが落ちず、どのアルバムもハード・ロックのバイブルといえる名盤です。

Robin Trower / Chrysalis Years (1977-83)

元Procol HarumのギタリストであるRobin Trowerの3CDのBOXセットです。収録されているのは、1977年の『In City Dreams / 白昼の幻想』から、83年の『Back It Up / 虹色の戦慄』までの6作品。Jack Bruceとユニットを組んでいた時期のアルバム『B.L.T.』（81年）、『Truce』（82年）も含まれています。曲はデジタル・リマスタリングが施されており、ボーナス・トラック2曲とブックレットが付属します。

同じシリーズに『A Tale Untold: the Chrysalis Years(1973-1976)』があり、1973年のソロ・デビュー作『Twice Removed from Yesterday』から、76年の『Long Misty Days』までの5作品を収録しており、おすすめです。

Saxon / Carrere Years 1979-1984 & EMI Years 1985-1988

『Carrere Years 1979-1984』と『EMI Years 1985-1988』の紹介です。この2セットで、Saxonの主要アルバムをほぼ全て網羅できます。

『Carrere Years 1979-1984』は、SaxonのCarrere時代のアルバムを収めた4CDのBOXセットです。79年のデビュー作『Saxon』から84年の名作『Crusader』までの7枚のアルバムに加えて、6曲のボーナス・トラックを収録。曲はデジタル・リマスタリングが施されており、豪華なブックレットも付属します。

一方の『EMI Years 1985-1988』は、SaxonのEMI時代のアルバムを収めた4CDのBOXセットです。85年の『Innocence Is No Excuse』から88年の『Destiny』までの4枚のアルバムに加えて、ボーナス・トラックが13曲も収録されています。また『Live At Hammersmith』は、1曲を除き初CD化です。曲はデジタル・リマスタリングされており、ブックレットも豪華です。

UFO / Chrysalis Years 1973-1979 & Chrysalis Years 1980-1986

『Chrysalis Years 1973-1979』と『Vol. 2-Chrysalis Years 1980-1986』の紹介です。この2セットで、UFOの主要なアルバムをほぼ全て網羅できます。

『Chrysalis Years 1973-1979』は、Michael Schenkerが在籍した70年代のUFOのアルバム（6作品）に加えて、多数のボーナス・トラックを5枚のCDに収録。英語のブックレットも充実しており、デジタル・リマスターでMichael Schenker在籍時のUFOのアルバムを揃えたい人におすすめです。

もう一方の『Vol. 2-Chrysalis Years 1980-1986』は、Michael Schenker脱退後の80年代のUFOのアルバム（5作品）に加えて、80年のBBCライヴ、83年のHammersmithライヴ、さらにボーナス・トラック10曲をデジタル・リマスターで収めた5CDのセットです。

Michael Schenkerの後任は、Paul Champmanというギターの名手。Michael Schenkerのような艶・派手さはありませんが、テクニックは互角です。Paul Champmanは『Making Contact』までの4枚のアルバムに参加し、続く『Misdemeanor』では、日系の技巧派ギタリストのAtomic Tommy Mに交代します。

Michael Schenkerが在籍したUFOしか知らない人におすすめです。