Boz Scaggsのおすすめのアルバム

2023年12月16日

Boz Scaggs(ボズ・スキャッグス)はアメリカのブルー・アイド・ソウル~AORシーンを代表するシンガー・ソングライターです。1965年にアルバム『Boz』でデビューし、その後に旧友のSteve Millerが作ったSteve Miller Bandに2年ほど参加しますが、基本的にはソロで活動を続け、これまでに発表したアルバムは20作品を超えています。

Boz Scaggs / Silk Degrees

ブルースやR&Bに音楽的ルーツをもつミュージシャンですが、次第に洗練されたスタイルを求めるようになり、76年のアルバム『Silk Degrees』では、ファンクやロック、レゲエなどの要素を取り入れた "大人の色気香る洗練されたポップ・ミュージック" を提示して人気を集めます。

このページでは、Boz Scaggsの70年代後半から90年代前半にかけてのアルバムを紹介します。出世作『Silk Degrees』を始め、AORの名盤といわれるアルバムを次々と発表した時期の6作品です。

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70年代後半、ブレイク期の3枚

R&Bやソウルに根差した音楽を作っていたBoz Scaggsのターニング・ポイントになったのは、74年の『Slow Dancer』です。Bozはここで、キャッチーで洗練されたソウル・ミュージックを指向し、手応えを掴みます。続く『Silk Degrees』(76年)では、楽曲をよりカラフルに、サウンドをよりスタイリッシュにして、大ブレイク。77年の『Down To Then Left』でも、艶やかに完成されたブルー・アイド・ソウルを提示します。Bozが都会的で洗練されたサウンドを追求し、成功を収めた70年代後半の3作品を紹介します。

『Slow Dancer』(1974年)

モータウン・レコードのスタッフだったJohnny Bristolがプロデュースを手がけたアルバムです。サウンド全体の印象はフィラデルフィア・ソウル。柔らかいストリングスを用いたスウィートなソウル・ミュージックが中心ですが、Allen Toussaint作のファンク・ナンバーの「Hercules」や、ディスコ調の「Angel Lady」、ポップな「You Make It So Hard」、メロウなバラードの「Slow Dancer」など、キャッチーな曲を収めています。タイトル曲は、Bozの艶やかな歌声を堪能できる洗練されたソウル・バラード。シングル・カットこそされていませんが、Bozのキャリア最高の歌唱として、この曲を挙げる人も多いのではないかと思います。

●収録曲
  1. You Make It So Hard (To Say No) / つのる想い
  2. Slow Dancer
  3. Angel Lady (Come Just in Time)
  4. There Is Someone Else / 愛を見つけて
  5. Hercules
  6. Pain of Love
  7. Sail on White Moon
  8. Let It Happen / 愛の始まり
  9. I Got Your Number
  10. Take It for Granted / 愛のあやまち

『Silk Degrees』(1976年, 米2位)

Joe Wissertをプロデューサーに迎えて制作されたBozの出世作。直後にTOTOを結成するDavid Paich(k), Jeff Porcaro(ds), David Hungate(b)が全面的に参加し、ほとんどの曲をDavid Paichと共作しています。ここから「Lowdown」(米3位), 「Lido Shuffle」(米11位)のヒットが生まれ、アルバムも全米2位を記録。76年のグラミー賞では、「Lowdown」が最優秀R&B楽曲賞を受賞します。ラストの「We're All Alone」は、Bozを代表する名バラード。Moshe Brakha(モシャ・ブラカ)氏の撮影したアルバム・ジャケットも大人の色香を感じさせ、トータルにスタイリッシュなアルバムです。

●収録曲
  1. What Can I Say / 何て言えばいいんだろう
  2. Georgia
  3. Jump Street
  4. What Do You Want The Girl To Do / あの娘に何をさせたいんだ
  5. Harbor Lights
  6. Lowdown
  7. It's Over
  8. Love Me Tomorrow / 明日に愛して
  9. Lido Shuffle
  10. We're All Alone

『Down Two Then Left』(1977年, 米11位)

Joe Wissertが引き続きプロデュースを担当しますが、サウンドの印象は少し変わり、ソウル、ファンク色が濃くなります。曲作りでは、前作のDavid Paichの役割をMichael Omartianが担い、5曲(5-9)をBozと共作。Jeff Porcaroが本作でも全曲のドラムスを担当し、心地よい重量感と強力なバネの効いたリズムを生み出しています。「Hard Times」は、重たいドラムスとねばりつくように濃厚なベースライン(Scott Edwards)が病みつきになる傑作。都会的な華やかさのある「Hollywood」も名曲。ブルー・アイド・ソウルを極めたような完成度の高いアルバムです。

●収録曲
  1. Still Falling for You
  2. Hard Times
  3. A Clue
  4. Whatcha Gonna Tell Your Man
  5. We're Waiting
  6. Hollywood
  7. Then She Walked Away
  8. Gimme the Goods
  9. 1993
  10. Tomorrow Never Came/Tomorrow Never Came (Reprise)

80年代~90年代前半、成熟期の3枚

80年代に入るとBozのアルバム制作は寡作になります。その結果、80年代に残したアルバムは『Middle Man』(80年)と『Other Roads』(88年)の2作のみですが、いずれも洗練されたAOR作品です。90年代の最初のアルバムは、92年に他界したTOTOの名ドラマーJeff Porcaroに捧げられた『Some Change』(94年)。円熟味を増す一方、この作品を境に、自身のルーツであるR&Bへ回帰していきます。

『Middle Man』(1980年, 米8位)

前2作のプロデュースを担当したJoe Wissertに代わり、職人的な音作りをするBill Schneeがプロデュースを担当します。曲作りにおいては、前作のMichael Omartianに代わって、当時勢いのあったDavid Fosterが全面的にサポート。演奏面をTOTOのメンバーがリードし、前半は洗練されたAOR、後半はハードで重厚なロック・サウンドを展開します。「Breakdown Dead Ahead」(米15位),「JoJo」(米17位)がヒットし、アルバムも8位を記録。しっとりとしたラヴ・バラードの「You Can Have Me Anytime」では、Carlos Santanaがゲスト・ギタリストとして参加しました。

●収録曲
  1. Jojo
  2. Breakdown Dead Ahead
  3. Simone / シモン(僕の心をもてあそぶ)
  4. You Can Have Me Anytime
  5. Middle Man
  6. Do Like You Do in New York
  7. Angel You
  8. Isn't It Time
  9. You Got Some Imagination

『Other Roads』(1988年)

前作から8年振りとなるアルバムです。前作に続いてBill Schneeが中心になってプロデュースを担当し、豪華なミュージシャンが参加しました。特に、Dann Huff, Michael Landau, Steve Lukather, Buzz Feiten, Carlos Rios等、ギタリストが充実しており、エッジの効いたギターの音が印象的なマッシヴな楽曲の多いアルバムです。シングル・カットされた「Heart Of Mine」は、Bobby CaldwellやChicagoのJason Scheff等の書いた名バラードで、全米35位をマーク。ダンディで成熟したAORアルバムです。

●収録曲
  1. What's Number One?
  2. Claudia
  3. Heart of Mine
  4. Right Out of My Head
  5. I Don't Hear You
  6. Mental Shakedown
  7. Soul To Soul
  8. Crimes of Passion
  9. Funny
  10. Cool Running
  11. The Night of Van Gogh

『Some Change』(1994年)

前作から6年振りとなるアルバムで、92年に他界したTOTOの名ドラマーJeff Porcaroに捧げられています。これまでのアルバムと同様に、高度に洗練され成熟したサウンドですが、穏やかなAORナンバーのほかに原点回帰とも言えるR&Bナンバーが同居する渋い内容です。ほとんどの曲をBozが一人で書いていますが、「Call Me」はRobben FordとMichael Omartian、「Illusion」はMarcus Millerとの共作です。

●収録曲
  1. Some Change
  2. You Got My Letter
  3. I'll Be The One
  4. Call Me
  5. Sierra
  6. Fly Like A Bird
  7. Lost It
  8. Time
  9. Illusion
  10. Follow That Man

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